都市部での(有害鳥獣)捕獲数が多いハクビシンですが、元々は野山に住む動物で農作物への被害も大きい害獣です。
年々捕獲数も増えているので、ハクビシンの生息地域にお住まいで、特に果樹などを育てている方は要注意です。
今回は、そんなハクビシンによる農作物への実害の状況と、ハクビシンによる食害の特徴をご紹介します。
ハクビシンによる農作物への被害は増加している

少し前のデータになりますが、平成18年度の農林水産省の調査資料によると、年間の農作物への被害金額は、平成18年度で2憶3千万円にも上り、この時点でアライグマやタヌキよりも農作物の被害額の多い害獣となっています。
この調査自体10年以上前の物で、現在ではこの増加の流れから言ってもさらに被害額は多くなっていることが予想できます。

上のグラフは、ハクビシンの全国の捕獲数の推移です。
平成6年度からハクビシンは狩猟鳥獣に指定され、それ以降狩猟での捕獲数がグラフに表示されていますが、狩猟での捕獲数は各年度別に見ても大きな変化はありません。
しかし、有害鳥獣捕獲数は平成13年度頃まで、年間平均150~300頭で推移していたのが、平成14年度から一気に増えていることからも、都市部などでの繁殖による増加が問題になってきていることが分かりますね。
ハクビシンの詳しい生態については「ハクビシンの生態や特徴を理解して対策を取ろう!」でご紹介しましたが、出産までのサイクルが短く繁殖力が強いので、どんどん数が増えて問題になっています。
ハクビシンが食害することが多い作物とは?

平成13年度から平成18年度までのハクビシンによる被害面積と被害量の推移、また作物別被害の内訳を示したグラフが上の2つです。
ハクビシンによる作物の被害面積・被害量ともに増加しており、特に「果樹」での被害が多いことが分かりますね。
果樹での被害は平成18年度では1億4千万円と、全体の6割以上に上ります。
ハクビシンが主に食害する作物は下記の通りです。
赤字は、最も被害の多い果樹ですが、基本的に甘い果実が好物で雑食性なので、これら以外の果樹でも食害を受ける可能性は大いにあるでしょう。
痕跡から見るハクビシン被害の見分け方

ハクビシンによる農作物への被害を減らすためにも、農作物に被害を与えている害獣がハクビシンなのかタヌキなのかをしっかり見分けられている必要があります。
実際に農家さん自身も、作物を荒らしているのが何の害獣なのかわかっていないことも多く、適切な対策がとれていないことが原因で食害を食い止められていない例も多いのです。
ハクビシンによる食害の特徴を整理しましょう!
1.足跡を見て判別する!ハクビシンの足の指は何本?

ハクビシンの手足の指は5本です。
実際のハクビシンの足跡の画像は検索してみると分かりやすいですよ。
農作物に被害を及ぼすその他の動物の足跡で、よく混同されやすいものを比較すると
![]() | 【ハクビシンの足跡】
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![]() | 【アライグマの足跡】
|
![]() | 【タヌキの足跡】
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![]() | 【アナグマの足跡】
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2.食べた痕跡で判断をする!

足跡が見つからない場合は、食べた痕跡で判断をしましょう!
特にわかりやすいのが「とうもろこし」です。
ハクビシンが食べたトウモロコシは、茎が斜めに折れ完全には横倒しにならないのが特徴です。中途半端に横に倒されたとうもろこしがあればハクビシンの仕業でしょう。
一方で、タヌキやアライグマは「完全に茎を倒して」食べます。
その時に手を使って起用に皮を剥いて実を全て食べるのがアライグマで、かぶりつくように食べますが土の付いた部分は食べずに残すのがタヌキの特徴です。

上の写真は我が家のトウモロコシ畑が荒らされた時の物ですが、完全に茎を倒して食い散らかしているのがわかりますよね?
ハクビシンなら茎は倒れないし、アライグマならもっときれいに食べるので、この犯人は「タヌキ」です。(※実際に何度もタヌキの被害を受けていて家の周辺にタヌキのねぐらがあるので確信しています。)
詳しくは下記記事もご覧ください。

スイカの場合は、スイカの穴の大きさで判別できます。
アライグマは手が器用なので、手を突っ込んで食べるためスイカに空いた穴は小さく、ハクビシンやタヌキは頭を突っ込んで食べるためスイカの穴はかなり大きいものになります。
また、ミカンやイチゴなどの被害の場合は、ハクビシンはヘタや内皮を食べずに吐き出すので、周囲にそれらが散らばっていることが多いのも特徴です。
まとめ
今回はハクビシンによる農作物への被害状況と、痕跡からハクビシンと他の害獣とを見分ける方法についてご紹介しました。
農作物の被害を抑えるためにも、ハクビシンが好む作物や被害状況の把握をして、加害しているのがハクビシンであることをつきつめるというのはとても大切です。
もし、加害しているのがハクビシンであると分かった場合には、ハクビシンに合わせた対策を取って、糞害や感染症の蔓延などの2次被害を予防しましょう!
既に家屋に棲み付いてしまっている場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
