家に棲み付くコウモリの生態|種類・寿命・ふん(糞)の形・病気や危険性

コウモリ

洞窟にいる生き物のイメージの強いコウモリですが、東京などの都会でも夕方以降に空を飛び回っている姿を見たことがある人も少なくないでしょう。

私も関東に住んでいたころ、仕事帰りに自宅周辺をコウモリがバサバサ飛んでいるのを頻繁に見かけていましたが、コウモリの中には人間の住む家に営巣する種類がおり、住人を悩ませています。

今回は、家に棲み付くコウモリの生態や危険性などについて、様々な視点から詳しく解説いたします。


コウモリって山とか洞窟とかにいるものだとばかり思っていたよ

日本で人家に棲み付くコウモリの種類は1種類じゃ。今回はそのコウモリについて詳しく解説していくぞい!

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家に棲み付くコウモリの種類と生態

アブラコウモリ
  1. 和名:アブラコウモリ 別名:イエコウモリ
  2. 学名Pipistrellus abramus
  3. 英名:Japanese house bat
  4. 階級:コウモリ亜目ヒナコウモリ科
  5. 生息場所:屋根裏、軒下、換気口、シャッターの裏、瓦の下、高架下など
  6. 体長:前腕長 30-35mm、頭胴長 40-60mm、体重5-11g
  7. 特徴①:夜行性
  8. 特徴②:主食は昆虫。日本に住む種は吸血はしない
  9. 厄介な点①:1~2センチの隙間があれば侵入してくる
  10. 厄介な点②:病気や感染症の媒介者になることがある

日本に生息すると言われている30種類以上のコウモリのうち、人家に営巣するのはアブラコウモリのみです。

主食は昆虫で、吸血行動をとらないので噛まれる心配はありません。それどころか、1日に膨大な量の蚊やユスリカ、クモやゴキブリなどの昆虫を食べてくれるので、害獣というよりも益獣として見られることが多いコウモリです。

温かい都市部では冬眠しない個体も確認されていますが、アブラコウモリの多くは11月ごろに冬眠し、3月中頃から行動を開始します。

7~8月頃に出産することが多く、約1ヶ月で巣立っていきます。

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アブラコウモリの分布・生息範囲

分布図アブラコウモリ

近年では道南まで生息域を広げていると言われているアブラコウモリは、道央以南の日本全域に生息していると言われています。(上図は2010年)

コウモリのフン(糞)の形と特徴とは?

ネズミとコウモリのフン

屋根裏や玄関先など、小さな1センチ程度の動物のフンを見かけた場合、ネズミや他の小動物の可能性もあるのですぐにコウモリだとは判断ができない場合があります。

上記のようにアブラコウモリのフンは、サイズ的にはクマネズミのフンに大きさ形が似ていて細長く1cm未満です。

こちらの「天井裏でネズミの音?家に出るネズミの種類と被害について徹底解説!」の記事でもご紹介しましたが、屋根裏に棲み付くネズミの多くが「クマネズミ」で、コウモリとの区別がつきにくいです。

クマネズミは徘徊しながら糞をするので、糞があちこちに散らばっていることが多いのですが、アブラコウモリはまとまった場所に糞をすることが多いので違いに気づくかもしれません。

また、昆虫を主食とするコウモリのフンはパサパサしていて触ると崩れやすいのが特徴です(必ずゴム手袋などをはめましょう!)

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コウモリの寿命は?

コウモリの寿命は種類によって若干の違いがありますが、家に棲み付くアブラコウモリの場合は、

  • 雄:約3年
  • 雌:約5年

と言われています。

他の種類のコウモリに比べ、アブラコウモリの寿命は若干短めと言われています。

日本のコウモリは狂犬病を持ってる?病気の危険性

狂犬病媒介動物

※画像:厚生労働省HPより

コウモリは狂犬病の媒介者になることがあるという事をご存知の方も多いかもしれません。上の地図は、世界で狂犬病を媒介することが分かっている生物を大陸ごとに記したものです。

アジアでの狂犬病の媒介者は主にイヌですが、アフリカやヨーロッパ、アメリカ大陸などでは「コウモリ」が共通してあげられるほど狂犬病を持つ生物として認知されています。

では、日本にいるコウモリは狂犬病を運んでくる危険性があるかというと、その可能性はないと考えて大丈夫でしょう。

狂犬病媒介 発生件数

上の地図は、各国の狂犬病の発生状況を示したものですが、青色で描かれている日本は世界的に見ても数少ない狂犬病清浄地域です。※狂犬病が無い国

1970年以降犬でも狂犬病の発症例は見つかっておらず、死亡例も海外渡航先(ネパール、フィリピン)で犬にかまれて帰国後に死亡した3例のみで、国内で感染・発症した例は50年近くありません。

コウモリの嫌いなもの

ハッカ

コウモリは夜行性の為、光が苦手です。コウモリが営巣する屋根裏に設置するタイプの強力な光を発するタイプの商品もあります。

また、コウモリ用の忌避剤に含まれている事の多い「ハッカ」「トウガラシ」もコウモリが苦手とするものの一つです。

コウモリの種類によっては、エコーロケーションと言って高周波の音が壁に反響する性質を用いて位置関係を把握したり、コミュニケーションを取っていることが分かっており、その妨げとなるような高周波発生装置なども苦手と言えるでしょう。そのため、コウモリ駆除装置として高周波発生装置が用いられることが多いです。

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コウモリをペットとして飼育できる?

コウモリ

コウモリについて検索すると、「コウモリ 可愛い」「コウモリ 飼い方」などのキーワードが散見されます。

鳥でもなく獣でもなく、吸血動物のイメージのあるコウモリは忌み嫌われることも多い生物ですが、カワイイ、飼育したいという声も大きいんですね。

ただ、コウモリの飼育に関しては国立感染症研究所ニュースレターにこのような記載があります。

国外ではコウモリが人獣共通感染症の感染源となる危険性が高い動物であると考えて対策をこうじている国もあります。例えばオーストラリアでは、コウモリは狂犬病類似ウイルスを保有しているとの前提のもとに、コウモリに接触することの多い人に対しては狂犬病ワクチンを接種するべきだとする呼びかけが行われています。また、アメリカでは原則的に国外からのコウモリの輸入は法律によって禁止されています。人に対して人獣共通感染症の感染源となる恐れがあるからです。例外的に研究等の目的で輸入が許可される場合でも、厳しい書類検査と、狂犬病とヒストプラズマ症を念頭においた検疫が実施されています。
ところが日本ではこのような対策は全くとられていません。幸いこれまではコウモリが人間の健康に対して被害をもたらしたことがないためかもしれません。しかし日本では感染例が知られておらず比較的安全だと思われても、コウモリを捕獲したり素手でさわったり、あるいはペットとして飼育するなどの不要な接触は当然避けるべきでしょう。


狂犬病の危険性が無いからと言って、他にも気を付けるべき感染症があるんだね!

コウモリから感染する可能性のある病気をまとめてみよう

コウモリが原因で感染する可能性のある病気

病院

コウモリが媒介するダニやノミ、そして糞に生息する寄生虫が原因になって感染する可能性のある病気に以下のものがあります。

  1. ハンタウイルス感染症
  2. アルボウイルス感染症
  3. ヒトプラズマ症

病原菌を媒介する生物の中で、人家に生息する可能性がある生き物の代表格に「ネズミ」がいますが、コウモリは進化系統的にげっ歯類であるネズミよりも私たち人間に近く、人畜共通の感染症が起こりやすいと言われています。

国外では人畜共通感染症の多くがコウモリ由来であると言われており、カワイイと言って安易に素手で触ったり飼育をすると思わぬ感染症の原因になる可能性があります。

コウモリの捕獲には許可が必要!鳥獣保護法に定められた罰則

捕獲

また、コウモリは鳥獣保護法で定められている「有害鳥獣」であり、捕獲や駆除を行うには許可が必要です。

もし無断で捕獲や駆除(殺処分)を行った場合は、法律にのっとった罰則があります。

病原菌や感染症の問題のみならず、コウモリは法律で保護されている鳥獣に分類されるので、個人の判断で勝手に捕獲や駆除をすると罰せられる可能性があるので注意しましょう。

コウモリを自分で駆除すべきか業者にお願いするべきか迷っている方は、下記関連記事をあわせてご覧ください。

コウモリ
自宅や店舗にコウモリが棲み付いてしまった場合に、「自分で駆除できるのだろうか?」それとも「業者に依頼した方がいいのだろうか?」とお悩みになるかも...

自宅や店舗にコウモリが発生した場合のおすすめの駆除業者



捕獲も駆除も個人で行うにはハードルが高いコウモリですが、中にはコウモリ駆除を専門で行っている業者があります。

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まとめ

  • 人家に棲み付くのは「アブラコウモリ」
  • 昆虫が主食で、吸血行動はしない(血は吸わないが噛みつく)
  • しかし、糞や媒介するダニなどから感染症にかかる可能性がある
  • 狂犬病の恐れはほぼ無いが、その他の感染症にかかる可能性は十分ある
  • 生息地は北海道の南部以南
  • ネズミとの見分け方は糞の形と硬さ。クマネズミのものと似ていて間違いやすい
  • 鳥獣保護法で保護されているので、無許可の駆除や捕獲は罰せられる
  • ペットとしての飼育にも許可が必要で、感染症の懸念もあるので止めた方が良い

以上、家に棲み付くアブラコウモリについてのまとめです。

アブラコウモリは繁殖能力も高く、どんどん増えるので気が付くと住処にされた屋根裏などが糞まみれになり、病原菌やダニの温床になる危険性があります。

コウモリの存在に気が付いた時期によっては、出産時期(7月頃)と重なり、市販のバルサンなどを炊くと幼獣が死んでしまう恐れもあるので、ご自身で駆除(追い出し)を行う場合には十分注意が必要です。

対応にお悩みの方は、一度専門業者に問い合わせてみることをおすすめします。