ネズミの存在に気が付く場合の多くは「天井裏(屋根裏)」を歩く足音であることが多いです。
人家に棲み付く害獣にはネズミの他に、ハクビシン、イタチ、アライグマなどがいますが、これらの比較的大型の害獣の足音は大きく、明らかにネズミのものではないと分かるでしょう。
家の中でネズミがたてる音を聞いた場合、あなたの家がネズミにとって住み心地の良い環境で、既に営巣してしまっている可能性があり、放っておいたら大変なことになってしまいます。
今回は、人家に棲み付くネズミの種類と生態・習性、及びネズミによってもたらされる害について解説いたします。
Contents
家の天井裏に棲み付くことのあるネズミはこの3種類!
日本には30種類近くのネズミが生息していて、そのうち次の3種類が家に住む「家ネズミ」と呼ばれるネズミです。
- ドブネズミ
- クマネズミ
- ハツカネズミ
1.ドブネズミの生態・習性・特徴
家ネズミ3種の中で最も大きく、人にも噛みついてくる攻撃的なネズミです。
【ドブネズミの特徴】
体長 | 20~28cm |
体重 | 200~500g |
しっぽの長さ | 体より短い |
耳の大きさ | 小さい |
攻撃性 | 獰猛で人に噛みついてくる |
平均寿命 | 約3年 |
出産のサイクル | 生後3か月から出産可能、年5~6回出産する |
運動能力 | 泳ぎが得意、高いところは苦手で垂直移動はしない |
生息場所 | 下水道、ゴミ捨て場、床下、台所、植え込み、河川敷、公園 |
他2種類に比べ、体が大きくしっぽや耳が小さいのが特徴です。また、手の甲が白っぽいのも見分けるときの特徴の一つです。
高いところが苦手なので、マンションの高層階などでは見かけず、屋根裏よりは床下に居る事の多い大型のネズミがドブネズミです。
2.クマネズミの生態・習性・特徴
家ネズミの中でも中間のサイズで、警戒心が強く臆病なネズミです。
近年のネズミ被害増加の原因がこのクマネズミであることが多く、屋根裏で走り回っているのもこのクマネズミであることが多いです。
【クマネズミの特徴】
体長 | 15~23cm |
体重 | 100~200g |
しっぽの長さ | 体より長い |
耳の大きさ | 大きい |
攻撃性 | 臆病で警戒心が強い |
平均寿命 | 約3年 |
出産のサイクル | 生後3か月から出産可能、年5~6回出産する |
運動能力 | 運動能力が高く高いところや綱渡りが得意、泳ぎは苦手 |
生息場所 | 天井裏、壁の隙間、狭い所 |
クマネズミは運動能力が高く狭いところが好きなので、屋根裏などに営巣することが多いです。また、動き回りながら糞をするのであちこちに糞が散乱している事も多く、病原菌をあちこちにばら撒く厄介者です。
臆病で警戒心が強いため、人の前に姿を出すことはあまりなく、ネズミの方から襲ってくることはほぼありません。
3.ハツカネズミの生態・習性・特徴
3つの家ネズミの中でも最も小さく、おとなしいのがハツカネズミです。
基本的には外にいることが多いのですが、寒い時期に人家に入ってくることもあります。菌の媒介者になることもありますが、比較的他2種類のネズミに比べて安全であると言われています。
【ハツカネズミの特徴】
体長 | 6~10cm |
体重 | 15~30g |
しっぽの長さ | 体より長い |
耳の大きさ | 大きい |
攻撃性 | おとなしい |
平均寿命 | 約1~1.5年 |
出産のサイクル | 生後2か月から出産可能、年6~10回出産する |
運動能力 | 身軽、高いところも平気、ジャンプも得意、泳ぎは苦手 |
生息場所 | 倉庫、河原、田んぼ、草むら、まれに室内 |
ネズミのふん(糞)の特徴で種類を見分ける方法
家に棲み付くネズミ3種類は、フン(糞)に特徴があるので見分けることが出来ます。
それぞれのネズミのフンの特徴は下記の通りです。
ドブネズミのフンの特徴 | 1~2cmで丸い。形はそろっていることが多い |
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クマネズミのフンの特徴 | 1センチ弱で細長い。あちこちに散乱していることが多い |
ハツカネズミのフンの特徴 | 5mm前後で小さい。先端がとがっていて米粒状 |
また、中にはネズミだと思っていたのが実はコウモリだったという事も少なくありません。特にクマネズミとコウモリ(アブラコウモリ)のふんはとても似ているので、もしまだネズミだと確定ができておらず、糞の形状がクマネズミのものに近い場合は、アブラコウモリも疑ってみましょう。
【関連記事】>>>ねずみのフン(糞)を見つけた時の対処法|消毒する時の注意点
【関連記事】>>>家に棲み付くコウモリの生態|種類・寿命・ふん(糞)の形・病気や危険性
ネズミ(ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミ)の生息地域
いずれの家ネズミも、諸島部も含め全国的に分布していることが分かります。船の積み荷などに紛れて移動し全国的に広がっていったと言われており、現在ではこの分布図のしるしが無いほとんどの地域で出現する可能性はあると言えるでしょう。
屋根裏のネズミを放置するのは危険?恐怖のネズミ被害とは
屋根裏を走り回るネズミの存在に気付いた時、どのような対策を取ればいいのかわからず対応が遅れてしまうことがあるかもしれません。
家に棲み付いたネズミは、屋根裏を走り回る物音がうるさいだけではなく、命の危険にかかわる様々な病気や事故の原因になりうるため、うかつに放置をしておくと取り返しのつかないことになってしまう可能性があります。
ネズミがもたらす被害にはどのようなものがあるのか下記にまとめます。
1.ネズミに噛まれることによって起きる病気
ドブネズミなど攻撃的なネズミは人間に噛みついてくることがあり、傷口から感染して重篤な症状を発症することがあります。ネズミに噛まれたときに起こる感染症として下の2つの病気があります。
鼠咬症(そこうしょう)
鼠咬症(そこうしょう)は、ネズミに噛まれることによっておこる感染症です。
インフルエンザに罹った時のような高熱や頭痛、関節痛、寒気などの症状が発症し、噛まれた傷口はただれることがあります。
3~5日の潜伏期間があるので、噛まれてすぐに症状は出ませんが、ネズミに噛まれた場合は症状が出る前に病院に行くことをおすすめします。
アナフィラキシーショック
スズメバチに複数回刺されたときに起こる症状として有名なアナフィラキシーショックは、ネズミに噛まれた時にも起こる場合があります。
体の抗体が異常反応を起こし、全身が腫れ、呼吸困難や意識障害などの症状を発症し、最悪の場合死に至ることもあります。
2.鼠の排泄物によって起きる病気
家にネズミが棲み付いていることによる問題で一番大きなものが、排せつ物によって感染症にかかることです。天井裏で走り回る音が聞こえるという事は、そこには間違いなくネズミの糞尿があり、いつ感染症にかかってもおかしくない状況にいるということになります。ネズミの排泄物から感染する病気には下の2つがあります。
サルモネラ症
サルモネラ症は、ネズミの糞の中にいるサルモネラ菌が手や食べ物に付着して、人の口に入ることで起きる病気です。
屋根裏を走り回る事の多いクマネズミは糞を散乱させるという特徴があり、知らないうちに手や衣服についてしまう可能性がありますし、台所や床下、水回りにいる事の多いドブネズミは食料のそばで見つかることが多いので、保存食が既にサルモネラ菌の被害を受けている可能性もあります。
感染すると、下痢や嘔吐などの急性胃腸炎や高熱の症状が出て、重篤化すると死亡するケースもある危険な病気です。
レプストスピラ症
レプストスピラ症は、主にドブネズミが感染源になる病気で、感染経路は皮膚感染です。
レプストスピラ菌は水中でも生きていけるため、川遊びや公園の水遊びなどからでも感染することのある病気です。
感染すると、寒気や高熱、筋肉痛、黄疸などの症状が出て、重症化すると全身から出血して死亡するケースもある恐ろしい病気です。
3.鼠が媒介する寄生虫によって起きる病気
ネズミはノミやダニの媒介者となり、寄生虫の宿主になっています。
特にクマネズミは高確率で「ツツガムシ」や「イエダニ」の宿主になっています。
【関連記事】>>>ダニの種類と特徴を徹底解説|家に出る注意すべきダニ
人家のそばや天井裏にいる程度なら直接的な被害はないと思うかもしれませんが、ネズミが媒介するノミやダニはネズミのように目に見える大きさではないため、知らないうちに身の回りで増えてしまっている可能性があります。
ネズミが媒介する寄生虫が原因で感染する病気には下の2つがあります。
ツツガムシ病
ツツガムシ病は、ネズミに寄生するダニの1種ツツガムシによって感染する病気です。
このツツガムシに刺されることによって発症し、1~2週間続く高熱と、腰痛・頭痛が症状としてあらわれたのちに、治療が遅いと死に至るケースもあります。
ツツガムシ病になるツツガムシ病リケッチアを保有するツツガムシは0.1~3%ですが、数年に1人くらいの頻度で死者が出ているので注意が必要です。
ツツガムシに刺された時の症状と刺し痕の画像は、こちらの「ダニに刺された時の症状の見分け方|家の中の虫刺され【皮膚の画像あり】」をご覧ください。
ペスト
ペストは世界的にも有名な感染症で、ネズミが媒介するノミ(ケオプスネズミノミ)によってもたらされる病気で別名「黒死病」とも言われています。
世界史の授業で習ったことがある人も多いと思いますが、14世紀に大流行したときには世界の人口を4億5千万人から3億5千万人まで減らしたとされており、日本では現在も天然痘やエボラ出血熱と同じ「一類感染症」に分類されています。
ペスト菌の保菌者は特にクマネズミであるとされており、抗生物質がある日本では21世紀に入ってからは死者は出ていませんが、放置すると確実に死に至る恐ろしい病気です。
4.火災の原因になる可能性がある
ネズミの歯は一生伸び続けるという特性を持っているため、常に固いものをかじって歯を研ぎ続けなくてはならず、なんでもかじってしまいます。
木の柱や、壁、家財等をかじってしまうという被害の他に、ガス管や電気ケーブルをかじってガス漏れや漏電の原因になることも少なくありません。こういった被害が知らないうちに広がっていると、火災の原因になることもあるので注意が必要です。
まとめ
今回は、家の中でネズミの存在に気が付いた時に知っておきたい情報として、ネズミの種類と習性、どのような事に気を付けるべきでどのようなネズミ被害があるのかをご説明しました。
最後にもう一度まとめます
- 家にネズミがいたら3種類(ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミ)のどれか。
屋根裏を走っていたら「クマネズミ」であることが多く、大きくて床下や水回りのそばで見かけたら「ドブネズミ」、手のひらサイズのネズミは「ハツカネズミ」 - ネズミは放っておくと被害が拡大し、感染症による症状は命に関わる重篤なものが多い
- 歯を研ぐ習性から家財がダメージを受けることがあり、場合によっては火災の原因になる
ネズミ被害は騒音などだけではなく、命に関わる重篤な病気の原因になるため、存在を確認したら直ちに対策を取る必要があります。
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