クリスマスの花といえば思い浮かぶのが「ポインセチア」ですが、ポインセチア自体は一年中販売されている観葉植物でもあります。
しっかりと手入れと管理を行えば毎年綺麗にクリスマスの飾りとして楽しむことができるのですが、実は管理が難しく、あの赤い葉の色は「短日処理」という作業をしなくては見ることができないんです。
クリスマスに楽しもうと購入したはいいものの、「全然葉が赤くならない」「クリスマス前に葉が落ちて枯れてしまった」という方も少なくないようです。
そこで本記事では意外と管理の難しいポインセチアの育て方を中心に、ポインセチアが何故クリスマスの花と言われるようになったのかなど基本情報もあわせてご紹介します。
Contents
ポインセチアとはどんな花?【原産地や英語名など】
- 和名:ショウジョウボク(猩々木) 別名:ポインセチア、クリスマスフラワー
- 英名:poinsettia
- 学名:Euphorbia pulcherrima
- 階級:トウダイグサ科トウダイグサ属
- 分類:常緑広葉低木
- 原産地:メキシコ、中央アメリカ
- 形態:草丈は20~30cm程度から、大きいものでは1mを超えるくらいになる
- 特徴:耐陰性・耐寒性に非常に弱い
実は「ポインセチア」というのは日本では通名で、本来の正式な和名は「ショウジョウボク」といいます。
日本には明治時代に持ち込まれ、能の演目にもあることからご存知の方もいるかもしれませんが、真っ赤な顔をした伝説の生き物「猩々(しょうじょう)」とに似ていることからこう呼ばれるようになったそうです。
※画像:wikipedia
英語ではそのまま「poinsettia」です。
赤い部分は花ではなく「苞(ほう)」と呼ばれる部分で、本当の花は苞の中心にある黄色い部分です。
原産地はメキシコであることからもわかる通り、耐陰性や耐寒性が無いので日当たりの悪い場所や寒い場所ではすぐに枯れてしまいます。
なぜポインセチアはクリスマスに飾られる花になったのか?
ポインセチアの色が「赤・白・緑」の3色だから
ポインセチアがクリスマスの花と言われる理由の一つが「色」です。
赤く紅葉した苞(ほう)が印象的ですが、白やピンクの種類もあり、それらを合わせることでクリスマスカラーである「赤・白・緑」が揃います。
ポインセチアの花言葉
ポインセチアの花言葉には、「祝福」や「聖夜」のように、クリスマスを連想させる花言葉が多く入っていて、このこともクリスマスの花とされるポイントの一つです。
ポインセチアの苞(ほう)の形
※画像:wikipedia
ポインセチアの赤い苞の形が、キリスト教ではとても重要な「ベツレヘムの星(別名:クリスマスの星)」の形に似ていることもクリスマスの花と言われるポイントのひとつです。
クリスマスツリーに飾る星の形のオーナメントは、普通の五芒星ではなく八芒星のベツレヘムの星であることが多いのですが、それもキリストの降臨を知らせた星として宗教的な意味を持った形だからなんですね。
日本ではクリスマスはプレゼント交換や恋人たちの記念日のような意味合いが強くなっていますが、元々はキリスト教の宗教的な記念日。
私たちにとっては「キリスト教で大事な意味を持つ星の形とポインセチアの苞の形が似ている」という理由は、あまりピンとこないかもしれませんが、知っておくとクリスマスが楽しくなる雑学にはなりそうですね。
ポインセチアの季節&寿命について
ポインセチアの葉が落ちてくると寿命かもしれないと考える方も少なくありませんが、多年草でもあるポインセチアは、剪定や切り戻しなどをしてしっかり管理すれば何シーズンも楽しませてくれます。
開花時期は「11月~2月」と冬の時期に花を咲かせます。
ポインセチアには毒性があるってホント?
トウダイグサ科であるポインセチアには、全草に「ホルボール」という有毒成分が含まれていて、かなり昔ですが1919年にハワイで子供が誤って食べて亡くなった例が報告されています。
犬や猫への中毒例も報告されているので、小さな子供やペットを飼育している方は注意が必要です。
またトウダイグサ科の植物を傷つけたときに出る樹液にも有毒成分が含まれていて、肌に触れると「皮膚炎」や「水疱」などを引き起こすこともあるので、剪定や植え替えの際には肌に触れないように注意しましょう。
【栽培方法】ポインセチアの育て方
環境 :日当たりが大切。寒さに弱いので10℃以上をキープ
水やり:夏はたっぷり。冬は過湿を嫌うので特に乾燥気味に育てる
肥料 :緩効性肥料を2か月に1回程度
剪定や切り戻し:4~5月頃
植え付けや植え替え:4~5月頃
病気:コナジラミやカイガラムシに注意
短日処理:クリスマスに楽しみたい場合は9月頃に行う
一番基本となる育て方で注意しておくべきは「日当たり」や「気温&室温」などの生育環境です。
クリスマスに見かける花で開花時期も冬なのに、育てるうえで難しいのが「冬越し」なんですね。
冬越しのポイントは、下記の4点。
・冬季の水やりは控えて乾燥気味に育てる
・ストーブやエアコンの温風が直接当たらないところで管理
・肥料もあげ過ぎないようにする
しっかりと苞を赤く染めるには後述する短日処理という作業が必要なのですが、まずは5~9月の温かい時期にしっかりと野外で日光に当てることがポイントです。
そして、鉢の置き場所にも注意が必要で、ポインセチアは秋口に入ってうっかり玄関や窓際において置くと、冷気によって一気に枯れてしまうこともあるほど寒さに弱いのです。
5℃位になると枯れ始めるので、生育環境は10℃以上をキープするように心がける必要があります。
冬になったら夏と同じような水やりのペースをやめて、乾燥気味に育てるようにしましょう。
ポインセチアが花が咲かない&苞が赤くならない理由とは?
ポインセチアには「1日の日照時間が12時間以下にならないと花を咲かせない」という性質があります。
原産地の自然環境下で育つポインセチアは、日が短くなってくると冬が近づいてきたと花が感じて苞を赤く染め、花を咲かせる準備に入ります。
そのため、日本で生育する場合でも同じような環境にしてあげないと、いつまでたってもポインセチアが冬の到来に気づかないまま開花期を過ぎてしまうのです。
寒さを避けて室内で育てると室内照明の明るさに影響を受けてしまうため、花を咲かせたい&苞を赤く染めたい場合は「短日処理」という作業が必要になるのです。
ポインセチアを赤くするための「短日処理」の方法
ポインセチアの短日処理のポイントは下記の2点。
・8月末~9月上旬位に開始
クリスマスまでに赤くしたい場合は、遅くても9月中旬までに短日処理を行う方が良いです。
方法としては、一般的には気温の高い日中は日当たりのいい窓際に置き、夕方17時頃になったら段ボールなどをポインセチアにかぶせて暗い環境を作ります。
翌朝8時くらいになったら段ボールを取り、同じように日に当てるという作業をしばらく繰り返すと、ポインセチアが日照時間の減少を冬になったと感じて開花準備に入ります。
大切なのは「日照時間(段ボールをかぶせる時間)をコロコロ変えないようにすること」です。
よくあるのは、早く暗くすればいいんだと思って段ボールをかぶせっぱなしにしたり、短日処理の時間を一定に保たないことによる失敗です。
ある日は夕方17時に暗くして、ある日は昼の15時だったりもっと遅い19時だったりとバラバラになると、ポインセチアが混乱してしまい開花準備に入りません。
こう聞くと結構な手間なのですが、これを繰り返すとクリスマスの時期には真っ赤なポインセチアを見ることができます。
まとめ
11月頃に花屋に並ぶポインセチアを購入する場合はあまり問題はありませんが、2年目以降に育てる場合や苗から購入して育て始める場合に知っておくべき情報をまとめました。
ポインセチアはクリスマスの花だけど寒さにはすごく弱いこと、放っておけば赤くなって開花するわけではないこと、毒性があって子供やペットがいる家庭では注意が必要なことなどが大切なポイントです。
手間はかかりますが、うまく真っ赤に色が変わるとそれだけで喜びはひとしおになります。
是非1シーズンだけでなく、毎年赤く色づくようにお世話をしてあげてくださいね。