山菜と言えば「たらの芽(タラノメ)」という人もいるほど人気が高く、山菜の王様とも称されるタラの芽。
天ぷらやおひたしにした時のほのかな苦みと香りは病みつきになるほど美味しく、旬の時期が近づくと、多くの人がタラの芽を求めて山に入っていきます。
今回はそんなタラの芽の見分け方や旬、保存方法に採取の時の注意などについてご紹介します。
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タラノキ(タラの芽)の特徴
- 和名:タラノキ(楤芽) 別名:タランボ、オニノカナボウ、タラッポ
- 英名:Aralia (タラの芽は、Aralia sprout)
- 学名:Aralia elata
- 階級:ウコギ科タラノキ属
- 分類:落葉低木
- 分布:日本全国
- 花期:8月
- 形態:高さは大きくても3mほどで、あまり枝分かれせず上にまっすぐ伸びる
- 特徴①:生命力が強く、群生していることが多い
- 特徴②:枝に鋭い棘がある
タラの芽をつけるタラノキは、木の形状や枝に生えたとげなどから見分けるのが比較的簡単な山菜です。
しかし、ハリギリ(針桐)という山菜ととても良く似ており、間違う人が多いので注意が必要です。ハリギリも美味しい山菜で、タラノキよりもトゲが鋭く長いのが特徴です。
タラの芽の旬の時期は?
タラの芽は、山形県や群馬県、富山県などハウス栽培が盛んな地域もあり、養殖ものなら2~3月になると品揃えのいいスーパーであれば陳列棚に並んであることが多いです。
一般的に、野生のタラの芽はもう少し遅い3月~4月初旬が旬の時期で、山間部では6月頃まで採れることがあります。
野生の天然物を採る場合は、あまり遅くに行くとすでに他の人たちに全て取られてしまっていたり、育ちすぎてしまっていることも多いので、シーズンが始まったら早めに山菜採りに行くと良いでしょう。
タラの芽が採れる場所
タラノキは藪の中に生えていることも少なくありませんが、里山や山間部の林道や斜面など、日当たりのいい場所に生えていることが多いです。
成長が早いタラノキは、日陰では育ちにくいので、自らの成長力で周囲の植物よりも上に伸びようと真っすぐ上に伸びる性質があります。
そのため、他の植物よりもひょいっと顔を出している植物を探すと見つけやすいでしょう。
探す場所の大まかな見当としては、林道や道路脇など、人が人工的に木を伐採して日光が当たりやすくなっている場所に多く生えています。
このような場所は見つけやすい分、他の人に先に取られてしまっていることが多いので、その木の周囲の藪の中も念入りに探してみると良いでしょう。
タラの芽の摘み方
タラの芽の採取の時のポイントは、タラノキがトゲトゲで素手では触れないことと、生長が早く上に伸びる性質から、手が届かないところに若芽が生えていることが多い点です。
素手や軍手程度では手が穴だらけになるほどトゲが鋭いので、先ほどの「山菜採りの服装」の記事の中でも紹介した「作業用の革手袋」を用意すると良いでしょう。
また、高いところに生える若芽を摘み取る時に、枝を折ってしまったり傷つけてしまうと、木そのものが枯れてしまう恐れがあるので、枝を手繰り寄せる「棒」のようなものがあると良いでしょう。
身近なもので言えば「ビニール傘」を逆さにして優しく手繰り寄せて使うと、高さ3mほどのタラノキであれば、枝を傷つけずに採取することができますよ。
タラの芽を採る時の注意点
タラの芽を採る時の注意点としては下記の通りです。
- 枝を折らない
- 側芽・胴芽を採らない
- トゲの部分を触れるように革手袋などをつかう
- 間違ってウルシを採らないようにする
1.タラノキの枝を折らない・切らない
タラノキが上に真っすぐ高く伸びる性質から、高い部分の芽を採ろうと枝を切ったり折ってしまう人がいるのですが、木自体が枯れてしまうので絶対にやめましょう。
前述したように、先端が曲がっている棒などで手繰り寄せて採るなどの工夫をしましょう。
2.側芽・胴芽は採らずに残す
1番芽とせめて2番芽くらいまでなら許容できますが、全ての側芽を採ってしまうとそのシーズンで芽を伸ばすことができなかったタラノキは立ち枯れしてしまうので、そのシーズンに成長できる芽を残して先端の頂芽だけを採るようにするのも大事なマナーです。
3.タラノキのトゲ予防に革手袋をはめる
革手袋をはめるというのは、自らの手をトゲから守るという目的はもちろんのこと、トゲの無い所を素手でつかもうとすると枝を折ってしまいやすいからという理由もあります。枝に無理に力がかからないように、トゲの部分を触っても大丈夫なように、作業用の革手袋を用意しておきましょう。
4.ウルシと間違わないように気を付ける
初心者はウルシ(ヤマウルシ)とタラの芽を間違えて触ってしまうというケースがあるので、ウルシとタラの芽を見分けられるようにしておくというのも大切です。
画像:ヤマウルシの芽 (出典:東北森林管理局Webサイト)
画像を見ると、一見タラの芽のようだが全体的に赤く、枝はつるつるとしているので見分けがつきます。
ウルシの樹液に触れると、かぶれてしまって山菜採りどころではなくなってしまうので、事前にしっかりと準備をしておきましょう。
タラの芽の保存方法と下処理の方法
タラの芽を常温・冷蔵保存する方法
タラの芽は特に保存が効きにくい山菜で、常温では1~2日が限度。それ以上経つとえぐみと苦みが増してしまいます。
天ぷらなどにするためにどうしても保存したい場合は、下記の方法で約1週間ほど持つことができます。
- タラの芽を水にさらす
- 新聞紙でふんわりと空気の通り道を作るように優しく包む
- 空気穴をあけたジップロックに入れる
- 冷蔵庫の野菜室で保存する
空気に触れて乾燥してしまう事がタラの芽の鮮度を著しく落としてしまう事につながるので、上記の方法で1週間程度であれば保存が効く状態にできます。
タラの芽を冷凍保存する方法
冷凍保存をすれば約1か月程度であれば保存が効きます。以下が冷凍保存の方法です。
- 付け根のハカマを取り除いて水洗いをする
- 塩を水に対して1%程度に薄く入れたお湯で1分半ほど固く下茹でする
- 冷水にさらして灰汁(あく)を抜く
- 水気をきって、アルミホイルで小分けに包んで冷凍保存する
まとめ
山菜の王様たらの芽は、人気があるがゆえに多くの人がこぞって狙う山菜です。
山菜採りはみんなで楽しめる分様々なマナーがあり、その後のシーズンも変わらずたらの芽が採取できるように、摘み取る量や部位、樹木を傷つけないなどの配慮が必要です。
しっかりとマナーを守って、安全に山菜採りをたのしめるようにしましょう!
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