早春の山菜として、比較的広い範囲で見かける「ふきのとう」ですが、実は部位によっては毒性があり、アレルギーや中毒の危険性があることはあまり知られていません。
もう既にふきのとうを採ってきた人、購入したり誰かからいただいた人、これから採りに行く人は、調理をする前に一度注意点をしっかりと知っておくと良いでしょう。
また、既にアレルギー反応が出てしまった人は、体質によって症状や対処法などが異なるので、もし体に異常をきたした場合はすぐに病院に行くことをおすすめします。
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ふきのとうの毒の成分と有毒部位
ふきのとうの毒の成分は「ペタシテニン(別名:フキノトキシン)」といって、特にふきのとうの根の部分に多く含まれています。
ペタシテニンは、有毒成分アルカロイドの一種で、肝毒性が強いので食べ過ぎると肝癌など肝臓の病気を引き起こす恐れがあります。
根以外にもアク抜きをしないと分解されずに体内に取り込んでしまうことがあるので、食べる場合はアク抜きをする必要がありますが、少量であればさほど問題が無いと言われています。
ふきのとうアレルギーの症状と原因は?
ふきのとうアレルギーの原因となる部位は「雄花の花粉」
ふきのとうアレルギーの原因は既に解明されていて、
雄花の花粉が原因であるという事がわかっています。
ふきのとうが山菜の中でも特殊なのは花粉ごと食すことが多いという点ですが、この雄花の花粉にアレルギー反応を示す人が稀にいます。特に普段からキク科の花粉症の既往がある方などは、関連してアレルギーが出現しやすいことが懸念されるので注意するようにしましょう。
ふきのとうアレルギーの症状
のどの痛み・顔の腫脹・咽頭の違和感・全身のそう痒・発疹・腹痛・下痢・嘔吐
主なアレルギー症状は上記のものですが、まれにアナフィラキシーが出ることがあります。
ふきのとうを摂取してからの症状の出現は、体質や食べた量、また料理の方法によっても異なるので注意が必要です。
特に、ふきのとうの天ぷらなどを食べた場合は、ふきのとうが衣でおおわれているので食べてから2時間~4時間後に症状が出現することがあり、ふきのとうが原因であることに気づきにくいという注意点があります。
ふきのとうのアレルギー物質は熱では分解されない
よくあるのが「ふきのとうを加熱処理しているので大丈夫」という誤解です。
前述のように天ぷらにしても強いアレルギー反応が出てしまった例もたくさんありますし、実際に加熱と非加熱でアレルギー反応の有無のテストを行った結果、両方でアレルギー反応が出たという試験結果もあります。
一番の対処法は「雄花の花粉を食べない」という事でしょう。
ふきのとうの雄花と雌花の見分け方
ふきのとうアレルギーの原因が雄花の花粉であることがわかっていますが、ふきのとうの雄花と雌花の見分け方を知っていないと、避けたくても避けることができませんよね。
上の画像を見ると一目瞭然なのですが、
黄色っぽい花をつけている奥の方が「雄(オス)」で、
白っぽい花をつけている手前側が「雌(メス)」です。
アレルギーが不安な方は、雌株だけを収穫することでアレルギー発症のリスクを抑えることができるでしょう。
ただし、写真のように近接して生えているので、雄花を割けても花粉が苞や雌株にも付いている可能性がありますので、ふきのとうアレルギーと診断されている方は食べない方が賢明かもしれません。
ふきのとうによく似た有毒植物「ハシリドコロ」
ふきのとうにおいて根を食べたことによる中毒と、雄花の花粉によるアレルギー同様に多いのが「誤食」です。
ふきのとうによく似た有毒植物をふきのとうだと思い込んで、誤って食べてしまうケースが少なくありません。
特に多いのが「ハシリドコロ」という植物で、上の画像のように芽吹いたばかりのふきのとうとよく似ています。
ハシリドコロは全草全てに毒があり、特に根や根茎に有毒成分が多く、誤って食べてしまった場合の中毒症状としては下記の通り重篤なものが多いです。
嘔吐・下痢・血便・瞳孔散大・めまい・幻覚・異常興奮・最悪の場合には死に至る
ハシリドコロの別名は「キチガイイモ」「キチガイナスビ」で、誤って食すと幻覚を見て走り回るところからきています。
ふきのとうとハシリドコロを間違えて食べてしまうケースが本当に多いため、厚生労働省も誤食しやすい有毒植物としてハシリドコロを紹介しています。
>>> 自然毒のリスクプロファイル:ハシリドコロ – 厚生労働省
両者の見分け方の特徴としては、
- ふきのとうの芽生えは「有毛」で、ハシリドコロは「無毛」
- ハシリドコロを触った手で目をこすると、瞳孔が開いてまぶしく感じる
という点でしょう。
くれぐれも誤ってハシリドコロを誤食しないように気をつけましょう!
また、ハシリドコロ以外にも山菜採りで誤食の多い有毒植物については、下記で26種類まとめていますので、こちらもあわせてご覧ください。
ふきのとう中毒・アレルギー対策まとめ
春の山菜「ふきのとう」を安心して美味しくいただくために、中毒やアレルギー、誤食の危険性についてご紹介いたしました。
ポイントをもう一度まとめます。
- ふきのとうの有毒部位である根の部分は食べず、しっかり灰汁抜きをする
- 雄花の花粉がアレルギーを引き起こす可能性がある
- 雄花と雌花は花の色で見分ける。アレルギーが心配なら雄花は避けた方が良い
- 天ぷらで食べると消化が遅れて、2時間後くらいにアレルギーが出ることがある
- アレルギー成分は加熱しても残る
- キク科の植物の花粉アレルギーがある人は注意した方が良い
- ふきのとうの芽吹きに似た有毒植物「ハシリドコロ」に注意する
春になってふきのとうのシーズンになったら採取しに行こうと考えている方は、是非今回ご紹介した内容に注意して下さいね。
【山菜採りに行くときに知っておきたい情報】