観葉植物の中でも育てやすいパキラですが、育て方によっては枯れてしまう事もあります。
現在育てているパキラの元気がない時に、その原因は何なのか、またどのような対策をとることができるのかについて症状別にまとめますので、ご自身の症状と照らし合わせて原因を特定する参考にしてみてください。
Contents
パキラが枯れる6つの原因
パキラの様子がおかしい、元気がない。
そう思ったらまずはパキラの症状から原因を見極める必要があります。
パキラが枯れる原因は大きく分けて6つあります。
①水切れ(水枯れ):水分不足
②根腐れ:水のあげ過ぎ
③日焼け:直射日光の当て過ぎ
④寒さ:温度調節の不備
⑤肥料焼け:肥料のあげ過ぎ
⑤病害虫
ご自宅のパキラがこの6つのうちのどれが原因で枯れてきているのかを、症状から見極めることで、適切な対処法を選ぶことができます。
それぞれの原因別で、どのような症状の違いがあるかを簡単に一覧にすると下記のようになります。
原因 | 症状 |
①水切れ(水枯れ) | 葉がしおれ、枝葉が下向きに垂れ下がる 葉が落ちる |
②根腐れ | 葉が茶色く変色して枯れている 幹(土壌に近い部分)がふにゃふにゃになる 鉢や受け皿の水から変な臭い(腐敗臭)がする |
③日焼け | 葉が白っぽく変色する |
④寒さ | 葉が黒ずんで、落葉する |
⑤肥料焼け | 葉や根が変色して枯れていく、発芽障害がおこる |
⑥病害虫 | 虫が発生しているのが見える、葉がべたべたする |
葉がしおれていたら水不足ですし、日焼けと寒さは相反するところがあるので、季節や鉢の置き場所によっていずれかを除外できるはずです。
パキラが枯れ始めている原因の予想が付いたら、それぞれの対処法を見ていきましょう!
水切れ(水枯れ)の原因と対処法
水枯れと聞くと、単に水やりの回数が少ないようにとらえてしまう人もいるかもしれませんが、それだけが原因とは言い切れません。
パキラは根の成長が比較的早いので、鉢の中で根がパンパンに詰まってしまうと窒息し、水を吸い取る能力も格段に落ちてしまいます。
また、土がカチカチに固まってしまっている場合は、保水力がないために水をいくらあげても根に水が届かないことがあります。
水枯れの症状でも原因によっては対処法が異なります。
水枯れが起きたパキラを復活させる方法
水枯れの原因が「水やりの頻度不足」でしたら、しっかりと水をあげることで復活することが多いです。
しかし、前述したように根詰まりをしている場合や、土が固まってしまっている場合などは水をただあげるのではなく「植え替え」が解決策となります。
鉢の植え替えのタイミングなどについては下記関連記事にて詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
根腐れの原因と対処法
根腐れが原因で元気がない場合は、水のあげ過ぎや土の水はけの悪さが原因です。
大切に育てようとして毎日過剰な水やりを行ってしまうような人に多いのですが、根腐れが株全体にわたってしまうと再生が難しいので注意が必要です。
根腐れかどうかの見分け方は、幹の下の方(土に近い部分)を触ってみて柔らかくなっていたり、鉢や受け皿にたまった水などから腐敗臭のような変な臭いがして見分けることができます。
根腐れが起きたパキラを復活させる方法
根腐れが起きているのが部分的であれば、パキラを復活させることができる場合があります。
方法は「風通しのいい場所に鉢を移して土をしっかり乾燥させること」です。
これでも改善が見られない場合は、土から株を取り出し腐って黒くなった根を切り落とし乾燥させ、新たな鉢に植え替えを行います。
最終手段としては、現在被害が及んでいない健康な枝を剪定して挿し木を行うことで、株全体が死んでしまう事を防ぐことを狙います。
基本的に鉢の植え替えは、観葉植物自体にもダメージを与えるので、温かい時期(5~6月)に行うのが好ましいですが、根腐れはパキラの生育が止まった冬に起きやすいので、室内など温かい場所で慎重に行うようにしましょう。
直射日光による葉の日焼けが原因の場合の対処法
パキラは熱帯原産の観葉植物ですが、直射日光が苦手です。
もし夏の日差しの強い時に、長時間直射日光下に置いておくと葉が日焼けをしてしまい、白っぽく色あせてしまうことがあります。
葉が日に焼けてしまったかどうかは置き場所と季節で判断ができるので、原因の特定はさほど難しくないでしょう。
葉の日焼けが起きたパキラを復活させる方法
パキラが元気がない原因が直射日光による葉の日焼けであると分かった場合の対処法は簡単で、「直射日光の当たらない明るい室内に入れる」ことで解決できます。
葉の日焼けの程度が酷い場合は、生長点を残して剪定をすればまた元気になって新たな芽を出してくれることでしょう。
冬の寒さが原因の場合の対処法
育てやすいパキラですが、お住まいの地域によっては越冬には十分に気をつける必要があります。
パキラの耐寒性はさほど強くはなく、観賞に適した濃い緑色を保つには最低約10℃以上、枯れる可能性のある温度は5℃といわれています。
室内で育てているからと言っても、冬の窓際は外気が当たって冷やされた窓ガラスのそばに置くと5℃を下回ることも多いですし、エアコンの風が当たる場所に置いてしまって寒さと乾燥で枯れてしまう事も少なくありません。
もし冬の時期にパキラの様子がおかしい場合は、室温と鉢の置き場所をもう一度見直してみましょう。
冬の寒さが原因で枯れてきたパキラを復活させる方法
パキラが寒さで枯れる場合の多くは、冬の時期に起きます。
もし室内の寒い窓際や冷たい風が差し込むような場所に置いていた場合は、室内の中央部分の温かい場所に鉢を移動させることが大切です。
冬の肥料や水やりはできるだけ控えた方が良いので、室内の空気中の湿度を高めるようにするとより効果的でしょう。
肥料焼けが原因の場合の対処法
肥料焼けの症状は、葉や根を枯らしてしまったり、発芽障害を起こしてしまったりと多岐に渡ります。
肥料のあげすぎはもちろん、株や根のそばに肥料を置いてしまったり、休眠期間中の冬の時期に肥料をあげてしまったりすることでも肥料焼けは起きます。
パキラの様子がおかしくなった直前に肥料をあげている場合は肥料焼けの可能性が高いので、原因の特定も容易だと思います。
肥料が原因で枯れてきたパキラを復活させる方法
肥料焼けのダメージは思った以上に大きいため、どの程度復活させられるかはダメージの程度にもよります。
対処法としては、与えた肥料を取り除き、肥料成分の入っていない土に植え替えるという方法が一般的ですが、植え替え自体も植物にとってはストレスになるため、回復の程度がどのくらいになるかは運任せです。
植え替えた直後の水やりはしばらくは控えるようにしましょう。
虫・病気が原因の場合の対処法
パキラは比較的病害虫に強いと言われていますが、それでも生育環境によっては虫がついてしまうことがあります。
パキラに付くことが多い虫は、下記の5つです。
・アブラムシ
・カイガラムシ
・ハダニ
・アリ
この中でも、「アブラムシ」「カイガラムシ」「ハダニ」がパキラを枯らせてしまう可能性のある虫なので覚えておきましょう。
アブラムシが原因の場合の対処法
パキラの新芽が伸び出す頃になると、アブラムシが発生しやすい時期になります。
パキラは葉柄に「花外密腺」があり、それに引き寄せられてアリが集まり、共生関係にあるアブラムシも増えるような関係性もあるようです。
アブラムシの生態と危険性については下記関連記事で詳しく解説していますので参照してください。
アブラムシは目視で確認できるので、発見し次第駆除する必要があります。
アブラムシの駆除については住友化学園芸の「オルトランDX粒剤」がおすすめです。
※こちらの商品は次で紹介するカイガラムシにも効果があります
オルトランは浸透性が高く、薬剤が水にぬれることによって植物体内に殺虫成分が行き渡り、葉や根をかじったり吸汁する害虫を駆除してくれる薬剤です。
オルトランDX粒剤以外にも、GFオルトラン粒剤がありますが、薬剤抵抗性の強いアブラムシに対してはオルトランDX粒剤の方がより殺虫効果が期待できます。
オルトランの剤形や種類別の効果や使い方、注意点については下記の関連記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
カイガラムシが原因の場合の対処法
カイガラムシとひと口に言っても様々な種類がいますが、白っぽい貝殻のようなものでおおわれているので、パキラにくっついていたら一目でわかります。
口吻を突き刺して樹液を吸い、糖分が多量に含まれるカイガラムシの排泄物は枝葉を枯れさせてしまったりすす病を蔓延させてしまう原因になります。
対処法としては、付着しているカイガラムシの数が少ない場合は歯ブラシでこすり落とす方法が地味ですが効果的で、被害範囲が大きい場合は、付着部分を切り落としてしまう方が良い場合もあります。
カイガラムシが発生する原因は、風通しの悪さや日当たりの悪さなどの環境面に問題があることが多いので、カイガラムシの除去後は鉢の置き場所を変えるようにしましょう。
具体的なカイガラムシの駆除方法と対策については、下記関連記事をご覧ください。
カイガラムシの駆除方法農薬や殺虫剤の効きにくい「カイガラムシ」の駆除方法と対策まとめ
ハダニが原因の場合の対処法
ハダニはクモの仲間で、大量に発生すると上の画像のように白い糸を張るので容易に見つけることができます。
ハダニが発生しやすいのは、夏の25~30℃位の気温の高い乾燥した時期に、ベランダなどで観葉植物を日光浴させているときです。
ハダニの被害にあった植物は、下の画像のように葉の模様が白っぽくかすれてくるのが特徴です。
対策としては、ハダニは水を嫌うため、定期的に霧吹きなどで「葉水」をしてあげると発生の予防につながります。
既にハダニが湧いてしまっている場合は、葉の表裏を丁寧にウエットティッシュなどでふき取って除去してしまいましょう。
量が多い時は、鉢ごと屋外やお風呂場にもっていって、大量の水で流してしまうというのも1つの方法で、よほどひどい状況でなければ殺虫剤を使わずに対処することが可能です。
被害にあった葉は、見た目にもよろしくないので剪定してしまっても良いでしょう。
ハイドロカルチャーで育てている時の注意点
パキラはハイドロカルチャー(水耕栽培)で育てることができる観葉植物ですが、ハイドロカルチャーにはメリットとデメリットがあり、今回ご紹介した6つの原因以外に注意しなくてはいけないポイントがあります。
ハイドロカルチャーは、土を使わないので虫が湧くことも少なく衛生的なので、室内で観葉植物を育てたい人に人気の栽培方法ですが、土を使わない分、植物の根から出る不純物を分解する役目を人間の手で行ってあげなくてはいけません。
簡単に言うと「根腐れ防止剤」と「イオン交換樹脂材」を適切に使用しているかどうかがポイントになります。
ここを適切に行っていないと、生育環境にいくら気を付けていても根腐れを起こして枯らせてしまう事になります。
具体的な注意点は「ハイドロカルチャーで観葉植物を枯れさせずに育てるコツを紹介します!」の記事で解説していますので、ハイドロカルチャーでパキラを育てている方は是非あわせてご覧ください。
まとめ
今回は、パキラを枯らしてしまう6つの原因について、見極め方と対処法をご紹介しました。
最後にもう一度整理しましょう!
②重篤な根腐れや肥料焼け以外であれば、パキラは復活させられる可能性が高い
③パキラに適した生育環境に合わせて手入れを行えば、枯らせずに済む
④定期的に葉や土の状態(虫の有無や臭い、葉の艶やハリ)を確認し、異変があれば環境の変化を疑う
パキラが枯れてしまう場合は、大きく分けると
- 環境要因:日光、気温(室温)、湿度
- 手入れの不備:水やりの過不足、肥料のあげすぎ、根詰まり、適期以外の植え替えや剪定
- 病害虫などの外的要因:アブラムシ、ハダニ、カイガラムシ等
の3パターンに分類できます。
1~2年くらいの比較的長い年月を問題なく育ててきての問題発生であれば、環境要因は考えにくいので、手入れの不備(植え替え時期を過ぎているのに植え替えず、根詰まりを起こしている等)が可能性として考えられますし、
育て始めてすぐの場合は、鉢の置き場所や水やりの頻度などに問題がある可能性を考えましょう。