100均や園芸用品店で売っている「バーミキュライト」という土は、土壌改良材としてよく使われています。
その軽量性と保水性、保肥性などからパーライトと比較されることの多いバーミキュライトですが、どのような特徴があるのでしょうか。
Contents
バーミキュライトとは?原材料は「蛭石」
バーミキュライトの原料は「蛭石」と呼ばれる鉱物で、正式名称を「苦土蛭石」(ケイ酸塩鉱物)と言います。
バーミキュライトは、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムを主成分とする鉱物で、高温でバーミキュライト原石を加熱処理をすることで膨張します。その膨張して容積が何倍にもなった焼成バーミキュライトが土壌改良資材として使われます。
バーミキュライトの特徴とは?
バーミキュライトの園芸や農業用の土壌改良資材としての効果は、
- 保水性・保肥性・排水性のバランスが良い
- 多孔質なので通気性が良く、根に酸素が行き渡りやすい
- 多孔質なので断熱性・保温性に優れる
- 比重が軽く(通常の土の10分の1程度)、土壌の軽量化ができる
- 高温で焼成しているので無菌である
- pH(酸性度)は中性
- 水耕栽培に向いている
などの特徴が挙げられます。
以前こちらの「おすすめの室内用水耕栽培キット4選!家でオシャレに野菜を育てよう」の記事でおすすめの水耕栽培キットをご紹介しましたが、キットを使わずに水耕栽培をする際にはバーミキュライトが使われることが多いです。
関連記事 >>> パーライトとはどんな土?土壌改良効果と使い方を徹底解説!
パーライトとバーミキュライトの違い
特徴が似ていて比較されることの多いパーライトとバーミキュライトの違いはどのような点なのでしょうか。
①パーライトは排水性・バーミキュライトは保水性が特に優れている
パーライトは前述の関連記事で紹介している通り2種類あり、その中でも真珠岩パーライトは保水性が高いのが特徴であると解説していますが、バーミキュライトに比べるとパーライトは総じて「排水性」が高く軽いのが特徴といえるでしょう。
一方で、バーミキュライトは水を吸うとやや粘り気のあるしっかりとした重みのある「保水性」の高い土になります。
保水性の点でパーライト単体で使う事はほとんどありませんが、保水性の高いバーミキュライトは挿し木や苗・種まき用の土として単体で使われることもあります。
ハンギングなどで、排水性と軽量化重視の場合はパーライト(※植物の特性にもよります)、ある程度の保水性を必要で、且つ軽量化もしたい場合はバーミキュライトを多めに使うと良いでしょう。
②バーミキュライトはCEC(陽イオン交換容量)が高い
以前、バーク堆肥の粗悪品を見極めるときの目安としてご紹介したことのあるCEC(陽イオン交換容量)ですが、バーミキュライトはこのCECが大きく、土壌の肥料成分を保持する力が高いのが特徴です。
バーミキュライトの多様な使用用途
バーミキュライトは、軽量・無菌・通気性が良い・保温断熱効果が高い・保水性が高い・溶融点が高いなどの特徴から、農業・園芸用の土壌改良用土として使われる以外にも、様々な用途で活躍しています。
軽量コンクリートとバーミキュライト
砂の代わりに骨材としてバーミキュライトを使用した軽量コンクリートは、保温性・断熱性の高さから重宝されています。
溶融点が1300℃以上と高温で、耐熱性も高いので建築用資材としても使われており、家庭内では家庭用湯沸かし器を設置する壁面の断熱材として使用されることが多いようです。
使い捨てカイロとバーミキュライト
使い捨てカイロは鉄と酸素を反応させて熱を出していますが、その時に必要な水分を保持するために保水性と耐熱性に優れるバーミキュライトが使用されています。
釣り餌の保存とバーミキュライト
バーミキュライトを知らなくても、投げ釣りをしたことがある人なら一度は見たことがあるであろう「イソメ」などの釣り餌。釣り餌として使われるイソメを購入すると、一緒に入っている茶色いおがくずのようなものがバーミキュライトです。
保水性の高いバーミキュライトは、乾燥に弱い釣り餌の長期保存に適しており、保管中に釣り餌が出す分泌物なども吸着してくれるという効果があります。
以前こちらの「釣り餌やコンポストに使うミミズを簡単に捕獲する方法」でミミズの捕獲方法をご紹介しましたが、ミミズを捕獲してから釣りに向かう場合は、釣り餌のケースにバーミキュライトを入れておくとミミズが元気なまま長持ちするのでお勧めです。
バーミキュライトとアスベストの関連性について
バーミキュライトに関連して1つ心配な情報としては「アスベスト」についてです。
バーミキュライトについてアスベスト被害が懸念されるには理由があります。
建材として使われていた吹付バーミキュライト素材にアスベストの混入があったことがある
以前、発がん性のリスクのあるアスベストが、建材として使われていた吹付けバーミキュライト素材に含まれていたことが発覚したことがありました。
これは、アスベストの危険性が認知される前の話で、現在ではアスベストの使用は規制されているので心配する必要はありませんし、特に園芸用の土壌改良資材としてバーミキュライトを購入する人には関係のない話です。
バーミキュライトとアスベストの採掘場が近い場合に混入の可能性がある
最初に注意しておきたいのは、バーミキュライト自体に毒性があるわけではありませんし、アスベストとバーミキュライトの原料となる蛭石を同一の物質と勘違いしている人がいるという点です。
アスベストについて懸念されているのは「混入」です。
バーミキュライトの原料となる蛭石とアスベストの鉱脈が近い場合があり、バーミキュライトの採掘時に誤ってアスベストが混入してしまう可能性があります。
かつて2009年にアメリカモンタナ州のリビー鉱山で採掘されたバーミキュライトにアスベストの混入が発見され大問題となりました。(その後、厚生労働省がリビー鉱山産のバーミキュライトに混入していたアスベストの種類を国内でも規制対象とし、現在は使われていません。)
日本産やアフリカ産のバーミキュライトにはアスベストの混入は少ないとされていますが、日本で販売されているバーミキュライトには産地の表示義務はないので、産地が書かれているかどうかは購入時の1つチェックポイントとなるかもしれませんが、見たところで混入の有無は目視ではわからないのでどうしようもないのが現状です。
現在では、アスベスト混入の可能性の少ない産地のものを使っていることがほとんどですので、過剰に心配する必要はないでしょう。
まとめ
土壌改良資材としてよく用いられるバーミキュライトについて、特徴やアスベストとの関連性などについて解説いたしました。
アスベスト被害の懸念については、バーミキュライトを調べていて「アスベスト」の文字を見つけて不安に思う人もいるかもしれませんが、現在購入できる園芸用のバーミキュライトについては、2006年以降に国の労働安全衛生法の改正が実施され、アスベスト含有量の厳しい規制がされているのでさほど気にする必要はないと言えるでしょう。(※それでも国のアスベストのチェックが甘いと指摘する声がまだ多いようです)
今回解説した点を踏まえて、バーミキュライトを有効活用してみましょう。
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