私が都会から田舎に移り住むときに、どうしてもやってみたかった事のひとつに「ハーブスパイラルガーデンを作る」という物がありました。
8年ほど前、有機野菜を販売する大手会社で働く友人が、当時私が住んでいた家の庭先に「ハーブスパイラルガーデンを作らない?」と提案してくれたことがきっかけで知ったのですが、その当時は特に興味がなくせっかくの申し出を断ってしまいました。
時は経ち、広大な土地がある田舎に移り住んで、ようやく当時諦めたハーブスパイラルガーデンをDIYする準備が整ったので実際に作ってみました。
今回は、ハーブスパイラルガーデンのメリットやパーマカルチャーの考え方、材料費や制作過程などをまとめます。
Contents
ハーブの花壇「スパイラルガーデン」とは?
スパイラルガーデンとは、その名の通り「スパイラル(うず巻き)」状に作られた花壇の事を言います。
パーマカルチャーと呼ばれるデザイン手法を元に考えられている形状で、渦巻き状に中心が高くなるように設計された花壇は、1つの花壇の中に日当たりや湿度等の環境条件を数多く作り出すことができるというメリットがあります。
スパイラルガーデンは、中心が高く渦を巻いて作られるため、日当たりがとてもいい頂上付近と、壁によって日陰ができる場所、午前中だけ日が当たる場所等ができます。
我が家のスパイラルガーデンでは池は作りませんでしたが、本来なら渦巻きの一番低い場所(上の図で言うとイタリアンパセリの左隣)には池を作って、頂上付近から下るごとに徐々に湿度が高くなるように設計されます。
余談:パーマカルチャー(Permaculture)って何?
パーマカルチャーとは、パーマネント(Permanent)とアグリカルチャー(Agriculture)を組み合わせた造語で、「永続的な(持続可能な)農業」という意味が込められています。
人間が食料やエネルギーなどを持続的に作り出すために、多種多様な生態系を観察して真似、生態系を作り出す一員となって意識的にデザインすることを重視しています。
そのため、このスパイラルガーデンも渦の高低や水場(池)による湿度の違いなど、1つの花壇の中で様々な生態系が共存できるようにデザインされています。
ハーブスパイラルガーデンの作り方
ハーブスパイラルガーデンは、ただ渦巻いているだけではなくいくつかの決まりごとがありますが、今回は我が家の環境に合わせて作ったスパイラルガーデンを基準に作り方をご紹介していこうと思います。
1.設置場所・大きさを決める
まずは設置場所を決めます。
基本的には日当たりのいい場所に設置をし、その中で渦の中央部分を高く積み上げて日向と日陰の環境差を作り出します。
我が家のスパイラルガーデンは、上の赤枠のスペースに決めました。
自宅横の畑につながる道の一画に設置します。
2.レンガ or 大きめの自然石を用意する
パーマカルチャーとしては、自然石の方が良いと考えられているようですが、近くに大きな石を拾えるような場所もないので近くのホームセンターでレンガを購入しました。
レンガは様々な種類があり、よく見かける直方体のレンガのサイズは「縦×横×高さ=20cm×10cm×5~6cm」のものが多く、値段は68円~150円位の範囲のものがほとんどでした。
高価なレンガは耐火レンガであったり、駐車場など車の重さに耐えることができる耐久性のある物がほとんどでしたので、ハーブスパイラルガーデンは安いもので問題ないでしょう。
購入したのはこちらのミックスレンガで、所々が欠けていたり色が不揃いなのが気に入って選びました。価格は一つ73円(税込み)でした。
今回の制作に使ったレンガは全部で90個(※73円×90=6570円)です。
作ったスパイラルガーデンは比較的大きいものなのでレンガの使用数も多いですが、レンガも最安値レベルのものを選んでいますので、大体このくらいはかかってしまいそうです。
3.雑草が生えていれば草刈りをしよう
スパイラルガーデンの外周の目安のためにレンガを並べて、その内部に生えた雑草を全て刈り取ります。(というかすべて掘り起こします)
スギナなどの強害雑草は掘り起こすだけでは分裂してさらに増えてしまう事もあるので、時間がある方はラウンドアップなどの移行性の除草剤を使用するのでもいいかもしれません。
雑草を取るために土を掘り起こしていると、もぐらのトンネルがいくつも顔を出しました。
もぐらの通り道になっているようなのですが、我が家の畑や庭は大抵どこを掘ってもモグラのトンネルにぶち当たりそうだったので、今回は場所を変更せずこのままこの場所に設置することにしました。
雑草をしっかり刈り取ってひとまず大体の大きさが見えてきました。
4.レンガ・石をらせん状に配置する
雑草を取り切ったらレンガを並べます。
ただ、最初は上の写真のように並べてみたのですがあることに気づきました。
「このままではとてもじゃないけど、レンガが足りない」
90個購入したレンガのうち48個を一段目で使ってしまっていて、このままでは全然高さが出ないことが分かったので、作戦を変更し土台の土をもう少し盛って調節するようにしました。
中央付近に盛り土をし、土壌自体が中心に向かって高くなっていくようにしました。
このように中央付近が最も高くなるように土を盛っています。
ただ、後述しますが我が家の土壌は粘土質なので、この土はレンガの高さを出すためにしか使わず、最終的には播種する場所の土はハーブの土を自分で調合して敷き詰めます。
少しずつ高さを出しながらレンガを並べていきました。
レンガを並べ終わったので、レンガの内側の粘土質の土を掘って溝を作っていきます。
このままではハーブ用の土を敷き詰めてもすぐに粘土質の層にたどり着いてしまうので、できるだけ深く堀りました。
レンガをのせた所だけ粘土質の土で高さを出し、レンガの内側は掘り下げてえぐったおかげで高さが出せました。
本来はハーブスパイラルガーデンは渦の始まりの場所に池を作るのですが、虫の発生などが懸念されたので見送りました。
クレソンなどのハーブを育てたい場合は、本来のパーマカルチャー式のスパイラルガーデン同様に池を作ると良いかもしれません。
5.ハーブ用の土を用意する
前述した通り我が家の畑の土は粘土質の為、ハーブを植えるのには適しません。
しかし、ホームセンターの「ハーブの土」のように既に様々な種類の土や肥料が混ぜ込まれているものは畑で使うような大型のサイズの販売が無く、購入すると高価になってしまうので、自ら調合するのが安上がりで良いでしょう。
私が用意したのは、下記の通りです。
- 赤玉土(小粒) :9袋(各10ℓ)
- 赤玉土(中粒) :6袋(各10ℓ)
- バーミキュライト:1袋(14ℓ)
- 腐葉土 :3袋(各30ℓ)
- 牛糞堆肥 :約5ℓ ※自宅に元々あるものを利用(畑用)
最初は上記の半分ほどの量を購入したのですが、途中で足りないことに気づき土を買いにホームセンターまで走りました。
購入した土はトータルで約230ℓほどになりましたが、ベースとなる土壌が我が家のように極端な粘土質でなければここまで購入する必要は無いでしょう。(土の合計金額約6000円)
スパイラルガーデンの真横にブルーシートを敷き、その上で購入した土を混ぜ合わせます。
赤玉土の代わりに粒が崩れにくい鹿沼土を使ってもいいのですが、セージ(酸性土壌にあまり強くない)を育てる予定なので鹿沼土やピートモスの混用は避けました。(※鹿沼土やピートモスは酸性)
育てたいハーブによって土壌の酸性度も気を付けるようにしましょう!
混ぜ合わせた土をスパイラルガーデンに入れ終わりました。
6.種&苗を植えて完成
当初予定していた場所に苗や種を植えました。
渦の高さをそこまで出していないので、日照条件についてもさほど大きく差はありませんが、西側の土手があるので渦の始点の方は半日陰の条件が上手く作れたと思います。
レンガの間の幅は40cm幅で均等に渦を巻くようにしました。
この幅でしたら種は2列で植えることができます。
渦の中心から一番遠い3週目の端までが約130㎝です。渦の2週目までなら80㎝ですが、スパイラルにするうえでやはり3週位は渦は欲しいですね。
ハーブスパイラルガーデンを作るのにかかった費用と使用道具
- レンガ代:6570円
- 土代 :6500円(堆肥は家にあった畑用の完熟牛糞堆肥を利用)
- 苗・種代:1000円(ローズマリー・ゲッケイジュなど元々家にあった植物も利用)
- スコップ・キャリア―・ブルーシート:0円(もともと家にあったものを利用)
TOTAL:約14000円
今回は、自前の土は粘土質のため使えず、大きめの自然石も無かったのでレンガを購入したため予定よりも少し費用がかかってしまいました。
条件によっては、種や苗代だけで費用をほとんど掛けずに作成することも可能ですよ。
まとめ
ハーブスパイラルガーデンを作ると決めてから、トータルで丸4日かかって完成しました。
花壇を作るというのは中々の重労働ですが、この先このスパイラルガーデンから沢山のハーブが収穫できるのを楽しみにしていきたいと思います。
ご自宅にお庭や畑がある方は、是非参考にしてみてください。
<パーマカルチャーやスパイラルガーデンについての参考図書>