我が家には3本の柿の木があり、毎年11月に入ると干し柿作りを行います。
干し柿は栄養価も高く保存も効くので子供のおやつにも最適です。
皮をむいて軒先に吊るせば10日ほどで美味しく出来上がる干し柿ですが、シンプルな作り方の中にもいくつかコツがあります。
本記事では、柿の収穫後から干し柿が出来上がるまでの工程と失敗しないためのコツをご紹介します。
Contents
美味しい干し柿の作り方と失敗しないためのコツ
干し柿づくりでよくある失敗が「カビの発生」です。
どうやら多くの方がせっかく干した柿がカビてしまって困っているようなので、干し柿を作る工程に入る前に、失敗しないためのコツをご紹介します。
1.甘柿ではなく渋柿を使おう
1000種類以上あると言われている柿ですが、そのほとんどが渋柿です。
甘柿でも干し柿は作れるのですが、干している過程でぐずぐずになってしまったり、鳥に狙われることが多いので我が家では渋柿を使っています。
また、渋柿の方が渋み成分であるカキタンニンが水に溶けやすい状態で含まれているので、カビ菌が発生しにくいとも言われています。
なぜ渋柿の皮をむいて天日干しすると渋み成分が抜けるのかは、下記関連記事をご覧ください。
2.気温と湿度の条件がそろう時期(11月~12月)に作ろう
干している柿にカビが生える一番の要因は「気温と湿度」です。
干し柿を作るのに一番いい時期は「日中の気温が10℃を下回るくらいになり、雨が降らず乾燥した日が続く時」です。
我が家は宮城県北部の寒い地域にありますが、大体11月上旬の空気が乾燥していて、早朝に霜が降りるようになったら作り始めます。
一方で、干している途中で気温が一気に上がってしまったり、長雨が続くようなタイミングだとカビが生えやすくなります。
カビは5℃以下では活動ができなくなるので、ある程度の朝晩の冷え込みがあるような時期だとカビの心配は少なくなりますね。
3.干す場所は雨が当たらない風通しのいい場所を選ぼう
※我が家の干し柿風景。納屋の軒下に吊るしています。
干している時に雨が柿にあたってしまうとカビの原因になってしまうので注意が必要です。
また、風通しの良さもカビを防ぐのに必要なので、雨が当たらないようにとずっと締め切った室内で干しているとカビてしまいます。
我が家は納屋の軒下に竹を渡して干し柿を吊るしていますが、都会でもベランダの雨が当たらない場所に干せば同じような環境になると思います。
4.柿同士がくっ付かないような吊るし方・結び方をしよう
※我が家の干し柿はよじったワラ紐の間にヘタをひっかける方法。柿同士がくっつかないように間隔をあけています。
ひとつ前の風通しの良さと関連しますが、吊るした柿が密集していたり、柿同士が触れていたりすると風通しが悪くなってカビが生えやすくなります。
干し柿用のひもはネットでも購入できます(T字のヘタが必要)
5.熱湯 or アルコールスプレーで滅菌しよう
カビは空気中にも存在しますが、多くは柿の表面に元々ついているものが繁殖してふえるので、柿自体を滅菌してしまうとカビの発生を押さえることができます。
柿に付いている菌の消毒を行う方法として「熱湯に10秒ほどつける方法」と「焼酎(アルコール)を吹きかける方法」の2つがあります。
個人的にはどちらでもいいのですが、我が家のように100個前後と柿の数がそこまで多くない場合はスプレーを吹きかける方が手軽です。(※専門の干し柿農家さんでは熱湯につける方法を行っているようです。)
熱湯につける場合は、皮を剥いて吊るす直前の状態にしたものを使いましょう。
※アルコールスプレーの場合は後ほど手順の所で解説します。
カビてしまった干し柿は食べられる?
干し柿を作っていると「緑色のカビ(青カビ)」と「白色のカビ(白カビ)」が発生してしまうことがあります。
いずれも健康被害を及ぼす恐れがあり、一度カビが繁殖してしまった場合はその部分を取り除いても菌糸が内部まで入り込んでいる可能性があるので、勿体ないですが廃棄してしまった方が賢明でしょう。
カビの発生しはじめに気が付いた場合はカビたものだけ廃棄し、環境的に他の柿もカビが発生する可能性が高いと考えて、アルコールスプレーをするなりして対策をとるようにしましょう。
干し柿の作り方・手順
1.柿のへタと皮をむく
まずは柿の下ごしらえから。
柿の皮をキレイに剥いて、ヘタの部分もよほど大きくはみ出しているようであれば取り除きます。
後で紐に引っ掛けるようにヘタのT字の部分は残しておきます。
こんな感じになります。
稀に「柿のお尻の部分の皮だけ一部残しておく」といった方法もあるようですが、我が家は特に気にせず全て皮は剥きとります。
革を全て剥いてしまって何か不都合があった経験は無いので、特に気にしなくていいと思います。
※余談:この時に剥いた皮は、たくあんなどをつけるときの着色剤になるので我が家では捨てずにとっておきます。
柿の皮を入れることで自然の着色剤になって、とてもきれいな色のたくあんが出来上がります。
2.吊るし紐に結ぶ
干し柿を失敗させないためのポイントでもご紹介しましたが、柿を吊るし紐に結ぶ時は、間隔をあけて柿同士がくっつかないように注意しましょう。
3.軒先などに吊るして焼酎を吹きかける
こちらも先ほどのポイントの所で解説した「柿自体を滅菌する」工程で、焼酎などをスプレーする場合は柿を吊るし終わってから、かけムラが無いように全体に吹きかけます。
我が家では、渋柿の渋抜きをする時に使う「アルコール度数の高い渋抜き用の焼酎」を使って滅菌します。
この「しぶぬき職人」はアルコール度数が47度とかなり高いので、カビの発生をしっかりと抑制してくれます。
4.7~10日後に外皮が乾燥したら一つずつ揉む
柿が乾燥し始めの写真を撮り忘れてしまったので借り物の写真で失礼しますが、1週間程度経つと上のようにある程度柿が乾燥しはじめます。
このような状態になってきたら、手袋をはめて衛生状態に気をつけながら一日一回、毎日一つ一つ手で揉みます。
最初のうちはまだ表面しか乾燥していないので軽く揉む程度に抑えますが、乾燥が進むにつれて柿の内部がトロトロと柔らかくなってきますので、そうなればしっかりと中まで揉みこむようにします。
この作業をするのとしないのでは完成度に大きな差ができてしまうので、柔らかくておいしい干し柿を食べたい方は必ず「揉む」作業をするようにしましょう。
5.【完成】白い粉が出てきたら食べ頃!
表面がシワシワになって、柿の糖分が表面に浮き出て白っぽい粉が吹いてきたら完成です。
※後ほど詳しく説明しますが、上の写真は半乾燥状態で中はまだトロトロの半生です。我が家はあえて吊るし紐から外すタイミングを写真のような状態にしています。
柔らかい干し柿を作るコツ&保存方法・期間
干し柿は作り方によって「中までカチカチに乾燥した干し柿」や「中はトロトロの半生状の干し柿」を作り分けることができます。
両者の違いは「乾燥の期間」です。
長期保存をしやすくするためには、内部までカチカチになるくらい長期間吊るしっぱなしにして、表面が黒ずんでくるまで待ちます。
中までしっかり乾燥すれば、常温でも日持ちしやすくなります。
しかし、我が家はどうしても中がトロトロの干し柿を作りたいので、上の作業工程の完成(5)の写真のように、あまり完全に乾燥し切る前に紐から外してしまいます。
この状態は常温・冷蔵ではまだ腐りやすいので、紐から外したら食べる分を除いて全てジップロックに入れて冷凍保存します。
こうすることで、長く日持ちをさせて常に中はトロトロの干し柿をいつでも食べることができます。
上の写真はちょうど1年前に作った干し柿ですが、糖分が表面に出てきて真っ白になっていますね。
長期間冷凍保存していたので少し霜も残っていますが、常温に30分程だしておけば出来立てのように美味しく食べられます。
カチカチになるまで干しておくのもいいですが、私は生で食べるトロっとした食感が好きなので、半乾燥状態ですぐに冷凍してしまう方が良いと思ってます。
でも、これはあくまで好みの問題なので、しっかりと乾燥した干し柿が好きな方は揉みこみの触感がしっかり硬さを感じるまで干しておくようにしましょう。
まとめ
上の写真は、干し柿にする前と干した後(1年保存)の柿の写真です。
どちらも「蜂屋柿(はちやがき)」という代表的な渋柿の品種なのですが、これだけしぼんでしまうんですね。
干し柿は栄養たっぷりで生の柿とはまた一味違った美味しさがあります。
是非今回ご紹介した方法で、カビの発生に注意しながら美味しい干し柿を作ってみてくださいね!
干し柿の栄養素と効能についての関連記事もあわせてご覧ください。