秋は柿が美味しい季節ですが、普段食べている柿はどんな種類かご存知ですか?
なんと柿の種類は1000種類以上と豊富!
柿は大きく分けると「甘柿」と「渋柿」がありますが、1000種類以上の柿のうち、なんと99%以上が渋柿なんです。
甘柿は熟したらそのまま生食できますが、渋柿は渋抜きをしないと食べられません。
渋柿の渋を抜いたものを「合わせ柿」と言うのですが、本記事では渋を抜いて合わせ柿を作る代表的な方法を4つご紹介します。
Contents
渋柿の食べ方|そもそもなんで渋柿は渋いの?
渋柿が渋くて食べられないのは、甘柿に入っていない渋み成分があるからと勘違いしている方が多いのですが、実は甘柿にも渋柿と同じ渋み成分「シブオール(カキタンニン)」が含まれています。
しかし、渋柿のシブオールは水溶性のため口の中に入ると渋みを感じますが、甘柿のシブオールは水に溶けない状態になっているので口の中で渋みを感じません。
次にご紹介する4つの方法は、いずれも手段は違えど行っているのは「可溶性のシブオールを不溶性のシブオールに変える」ための作業です。
もう少し具体的に書くと、渋柿の渋み成分であるカキタンニンはアセトアルデヒドとくっつくことで不溶化するという性質を利用します。
アセトアルデヒドを作り出すために次項でご紹介する方法があるのですが、各方法ごとにメリットやデメリット、渋が抜けるまでの時間などが違うので、ご自身にあった方法を選ぶようにしましょう。
渋柿の渋の抜くいて合わせ柿を作る4つの方法
アルコール(焼酎)を使って渋を抜く方法
我が家でやっている渋抜きの方法はアルコール度数の高い焼酎を使った方法です。
アルコールは酸化することでアセトアルデヒドに変わるので、渋柿の渋を変質させてくれます。
以下が我が家で実際に行っている焼酎を使った具体的な渋抜き工程です。
1.浅い小皿に渋抜き用のアルコール(焼酎・ブランデーなど)を入れ、渋柿のヘタを浸す
アルコールを使った渋抜きの工程はとても単純で、渋抜き用の焼酎などアルコール度数の高いお酒を用意して、浅い小皿に入れます。
そして渋柿のヘタの部分をチョンと浸けます。
用意するお酒は我が家では「しぶぬき専科」と言う下記の渋を抜くためのアルコール度数が高い焼酎を使っていますが、知り合いの家では焼酎が無くてウイスキーでやったところ同じように渋が抜けたと言っていました。
ポイントはアルコール度数の高さですが、このしぶぬき専科(アルコール度数47%)でなくてもウイスキーやブランデー並みのアルコール度数があれば渋は抜けるようです。
2.ポリ袋に入れて密封し、4~5日涼しい所に置いておく
柿のヘタをアルコールに浸したら、ポリ袋などに入れてしっかりと口を縛って密封します。
我が家では柿の数が多いので写真のようにドサッと入れてしまっていますが、本来はポリ袋の中に新聞紙を敷いて、ヘタの部分が新聞紙に合わさるように並べるようにします。
また、予めポリ袋の内部にアルコールを霧吹きなどでスプレーしておくと確実に渋が抜けます。
ここでの注意点は「途中で開けてしまわないこと」
途中で開けてしまうと渋がちゃんと抜けなくなるので注意しましょう!
最低でも4日、少し食感が柔らかくなっても良い方は5~6日涼しい場所に置いておきます。
我が家ではいつもこの方法で美味しく渋柿をいただいているのでおすすめです。
・取り出すタイミングを間違えるとぐずぐずになる
・最低でも4日経つまでは、途中で開封しない
炭酸ガス(ドライアイス)を使って渋を抜く方法
ドライアイス(炭酸ガス:CO2)を使った方法でも柿の中にアセトアルデヒドを作らせて渋を抜くことができます。
炭酸ガスで渋が抜けるのは、炭酸ガスが充満する中に柿を入れることによって柿が酸欠に陥り、ピルビン酸という物質が酸素呼吸による分解が行われずアセトアルデヒドを作り出してしまうためです。
ドライアイスを使った渋の抜き方は下記の手順で行います。
2.渋柿の上にドライアイスをのせる(柿に直接触れないように段ボールなどを間に挟む)
3.ポリ袋の空気をしっかり抜いて、口を縛って密閉する
4.4~5日涼しい所に置いておく
この方法の注意点は、「柿の量に対するドライアイスの量」と「ドライアイスが直接肌や柿に触れないようにする工夫」です。
柿10㎏に対してドライアイス1kgあれば十分ですが、もしドライアイスの量が少ないと渋が抜けきらずに残ってしまうことがあるので注意しましょう。
また、ドライアイスは手に直接触れると凍傷の危険性がありますし、柿に触れてしまっても台無しになってしまうので、アルコールを使う方法に比べると扱いに注意が必要な点が多いです。
ただし、市販の柿のようにある程度の歯ごたえを残した合わせ柿を作りたい方は、焼酎よりもドライアイスの方がいいでしょう。
・ドライアイスの量が少ないと渋が抜けきらないことがある
・ドライアイスが手に入りにくい
天日干しをして渋を抜く方法
天日干しで渋柿の渋が抜けるのは、日光による作用などではなく「皮をむくことで皮膜ができてしまい呼吸ができなくなるから」です。
ドライアイスを使うのと同様に酸欠を起こす事でアセトアルデヒドを作り出させるのですが、この方法は生食用の柿ではなく干し柿の作り方ですので少々毛色が違いますね。
干し柿に関しては下記の別記事で詳しくご紹介していますが、渋柿の渋を抜いて美味しく食べる方法として念のためご紹介しました。
・甘柿のように生で食べるのとは違う加工品になる
ぐずぐずになるまで放置&完熟させて渋を抜く方法
渋柿でも、ぐずぐずになるほど完熟させれば渋は抜けます。
しかしこれに関しては本当に果肉がドロドロになるほど熟した状態の話なので、一般的にスーパーなどで売っている合わせ柿とは違い、食感などはほとんど無くなってしまいます。
渋が抜けるという点では一つの方法ですが、普通に包丁で切って食べることを想定しているのであればこの方法は向きません。
シャーベットやジャムなどに加工するのであれば、最高潮に甘みが出ている時なのでこの方法がおすすめです。
・果肉がぐずぐずになってしまい、食感が悪くなる
渋柿の渋の抜き方4パターンの特徴を比較
アルコール | 最も簡単に早く渋抜きを行いたい人向け |
ドライアイス | 柿の歯ごたえを残したい人向け |
天日干し | 柿の数が多く、保存用に干し柿を作る人向け |
完熟まで放置 | 甘みを活かしてジャム等に加工したい人向け |
これまでの解説からも、最も簡単に早く渋を抜く方法は「アルコールを使った方法」であると言えるでしょう。
たまに木から落ちて知らないうちに完熟してぐずぐずになった渋柿を食べると甘くて美味しいのですが、あえて放置して完熟させることは我が家ではしません。
聞くところによると、この放置してドロドロになった柿を冷凍してシャーベット状にすると美味しいらしいのですが、柿が完熟する季節がどうしても秋~冬なので試したことはありません。
炭酸ガスを使った方法は、ドライアイスを入手する手間や使用上の注意点が多くありますが、できるだけ柿の硬い食感を残したい方にはオススメです。
また、柿の数が多くて一気に渋抜きをしても食べきれず腐らせてしまいそうな場合は、保存食用に干し柿にしてしまうというのも良いでしょう。
まとめ
今回は渋柿と甘柿の違いと渋抜きの方法について解説いたしました。
今回ご紹介した方法以外にも、「40℃のお湯につける」など渋を抜くことができる方法が他にもあるのですが、効率や確実性の点から4つに絞ってご紹介しました。
抗酸化作用の高いポリフェノールの一種であるカキタンニンは、様々な健康促進作用があるのでとても体にいいことはよく知られています。
渋抜きをしてカキタンニンを体内に取り込むのは、美味しいだけでなく健康にも良いというのは嬉しいですよね!
ほんの少しの手間で美味しいか気が食べられるので、是非渋柿を買って渋抜きをしてみてください。