キウイフルーツは意外にも一般家庭で育てやすい種類の果樹です。
庭植えするスペースが無くても鉢植えで育てることができますし、栽培方法をしっかりと理解すれば様々な環境で育ってくれるので初心者にもおすすめできる植物です。
私は以前本場ニュージーランドのキウイフルーツ畑で働いていた経験もあり、現在自宅の果樹園でもキウイフルーツを育てています。
その経験から本記事ではキウイフルーツの一般的な特徴と育て方、どのような苗木を選ぶと良いのかなどについて解説していきます。
Contents
キウイフルーツ栽培の基本情報
- 和名:キウイフルーツ
- 英名:Kiwifruit
- 学名:Actinidia chinensis
- 階級:マタタビ科マタタビ属
- 分類:落葉つる植物
- 原産地:中国南部
- 特徴:耐暑性・耐寒性に強く育てやすい
キウイフルーツはNZ原産ですが、元々は中国のマタタビ科の植物を品種改良してできたもの。
ニュージーランドの国鳥Kiwiやニュージーランド人自体をKiwiと形容することから、輸出の際に「Kiwi Fruit(キウイフルーツ)」と命名したとされています。(※鳥のキーウィに似てるから命名されたという説は、私がニュージーランドにいた時には聞いたことがありません)
産出量の1位は意外にもイタリア(約50万トン)で、次いで中国(約30万トン強)、3位にニュージーランド(約30万トン)となっています。
キウイフルーツの特徴は、
- 1つの株から大量に収穫することができる
- 特別な栽培方法は不要で素人でも比較的育てやすい
- 耐寒性・耐暑性に強く日本でも育てやすい
という点です。
自宅に果樹を植えるときに「柿」や「リンゴ」「ブルーベリー」などを選ぶ人が多いですが、実はキウイフルーツは育てやすさという点ではとてもおすすめの果樹です。
キウイフルーツ栽培の流れ(庭植え)
時期・タイミング(関東以南/関東以北) | |
植え付け・植え替え | 10~12月/1~3月 |
剪定 | 12月下旬~2月中旬 |
開花 | 5~6月 |
摘果 | 6月下旬(開花から一か月以内) |
収穫 | 10~11月 |
施肥(庭植え) | 7月・9月・11月 |
・日光を好むので日当たりのいい場所へ植える
・庭植えの場合は日照り続きの時以外は水やり不要
・苗木を植えてから結実するまでは4~5年かかる
・元肥は11月頃、追肥として7・9月に行う
・雄花と雌花の開花期が合うものを選ぶと受粉が容易
・摘果しないと果実の大きさ、味が落ちる
・主だった害虫はいないが、いくつかの病気に注意
・果実が硬いうちに収穫をして追熟させる必要がある
・棚を作って誘引する必要がある
キウイフルーツの育てやすさのポイントは、日当たりのいい場所に植えれば水やりや害虫対策はほぼ不要で、開花期が合う雄株と雌株が近い距離に植えてあれば受粉も簡単で結実させやすい点にあります。
一方で、結実させやすいものの「摘果・剪定・棚への誘引」をしないと、果実の大きさが小さかったり味が落ちる、収穫しにくいなどの問題が出てきます。
キウイフルーツの摘果のポイント
摘果に関しては「葉5枚につき果実1つ程度にする」などと書かれていることが多いですが、私が働いたニュージーランドの畑では、形がいびつだったり”ささくれ”ができている果実を中心に間引いていました。(詳しくは下記関連記事へ)
ご自宅で1,2株で育てている場合には、あまり厳密に摘果しすぎなくても、形の悪いものを中心に取り除けば大丈夫だと思います。
摘果のタイミングは、開花から一か月以内が適してると言われています。
キウイフルーツの病害虫
キウイフルーツは特別注意すべき害虫はあまりいません。
一方で、病気に関しては「花腐細菌病、かいよう病、果実軟腐病」の3つに注意が必要で、特に「かいよう病」と「花腐細菌病」は細菌性の病気で一般的に販売されている物には効果的な薬剤がないので感染しないように注意しましょう。
キウイフルーツ収穫後の追熟期間
キウイフルーツは霜が降りる前に収穫しますが、収穫後に追熟をしないと食べることができません。
追熟をさせるには収穫したキウイフルーツを室温で2~3週間保管するだけでもできますが、できるだけ早く食べたい場合は果物自身が出すエチレンガスを利用すると良いでしょう。
具体的な方法としては、
・キウイフルーツを1つ表皮を傷つけて、10個ほどひとまとめにして袋に入れる
・リンゴ(フジ以外の、王林やジョナゴールドなど)と一緒に袋に入れる
などがあります。
リンゴやバナナが出すエチレンガスを利用するか、キウイの表皮が傷ついてもエチレンガスが出るので、1つだけ少し傷つけておくと周囲のキウイも熟していきます。
この時袋の口は軽く閉じる程度で密封する必要はなく、15~20℃程度の室温で保存すれば10日~2週間程度で食べ頃になるでしょう。
キウイフルーツの肥料(元肥・追肥)の与え方とタイミング
毎年11月に与える有機質肥料には「発酵鶏糞」などがおすすめで、7月・9月の追肥には化成肥料の「マグァンプK」などを与えると良いでしょう。
キウイフルーツの苗木の購入方法と品種
キウイフルーツの苗木は大きめのホームセンターであれば取り扱ってることが多く、手に入れることはさほど難しくありません。
注意点は雌雄1株ずつ必要である点(※例外アリ)。
どちらか一方だけ購入していても結実しませんので注意しましょう。
せっかく育てても開花時期が少しでもズレると結実しにくくなるので、品種(雄と雌)の剪定は十分に注意する必要があります。
一般のホームセンターでは稀に品種のタグが間違ってることもありますので、一番信頼できるのはキウイの苗木を直接販売している農家から購入することです。
もしお近くのホームセンターで苗木の取り扱いが無い場合はネットでも購入可能です。
キウイフルーツのおすすめの品種と同時期に開花する雄株
ヘイワード
最も一般的な品種。我が家で育ててるのもヘイワードです。
とても育てやすく長期保存が可能なのがポイントで、ヘイワードを育てる場合は雄株に「トムリ」という品種を選ぶと、開花時期がぴったり重なるので受粉が容易になるのでおすすめです。
紅妃(こうひ)
紅妃は通常のキウイとは違って熟した果肉の中央部分が赤く色づいているのが特徴です。
果実は小ぶりですがとても甘く人気がある品種で、極早生なので雄株にも同時期に開花する品種「早雄(ソウユウ)」を選びましょう。
キウイフルーツ栽培の意外な注意点
成長力がすさまじいので他の植物や人家のそばに植えない
丈夫で成長力のすさまじいキウイフルーツは育てやすい反面、生長した蔓(つる)が他の植物に巻き付いて締め潰してしまったり、人家の柱に巻き付いて駆除しにくくなってしまったりすることがあります。
もし周囲に別の果樹を植えている場合は蔓が伸びて届かないように、植える場所には十分注意しましょう。
キウイフルーツの栽培には「果樹棚」が必要になります。
果樹棚の作り方についてはこちらの記事も参考にしてみてください。
キウイフルーツの猫よけ対策
キウイフルーツは「マタタビ科」の植物なので猫が寄ってくることがあります。
私がニュージーランドのキウイフルーツ畑で働いていた時は、苗木の周囲に大量の野良猫が集まってきていました。
ニュージーランドの農園では野良猫の糞も肥料のうちなのかわかりませんが、野良猫対策はほとんどとっておらず放置状態。
3年目以降の大きな木になった場合はあまり猫による被害は心配ありませんが、1~2年目の幼木の頃は猫がじゃれて折れたり倒木することがあるので気をつけたいところです。
我が家の場合は自宅がキウイフルーツの木のそばにあるので、糞害対策として猫よけグッズを導入しています。
もし宜しければ以下の記事も参考にしてみてください。
まとめ
キウイフルーツは育てて結実させるとことまではさほど難しくないのですが、美味しい果実にするには摘果・摘蕾・剪定などを適切なタイミングで行う必要があるという点がやや難しいかもしれません。
実をつけるまで4~5年かかるので、その過程で剪定や棚づくりを工夫して美味しい実ができるように準備をしていくと良いと思います。
栄養たっぷりの美味しいキウイフルーツがなるように是非トライしてみてくださいね。