数ある山菜の中でも最もポピュラーともいえるのが「わらび(蕨)」ではないでしょうか。
我が家の敷地内にある裏山にもわらびの群生地があり、妻は幼い頃によく採りに行っていたそうです。
認知度も高く比較的容易に見つけることができる山菜ですが、特に灰汁(アク)が強いことで知られていて、あく抜きをせずに食べると中毒症状を引き起こすことがあります。
本記事ではわらびの旬の時期や栄養、生えている場所などの基本情報に加えて、あく抜きの方法や保存方法などの食べ方等についても詳しく解説いたします。
Contents
わらび(蕨)とはどんな山菜?
- 和名:わらび 別名:シトケ、コブシナ、ホドロ
- 学名:Pteridium aquilinum
- 英名:western bracken fern
- 階級:コバノイシカグマ科ワラビ属
- 分類:多年草
- 分布:日本全国
- 収穫時期:4~5月
- 形態:生長すると1m以上にもなることがある。
- 特徴:山菜の中でも特にアクが強く、食べ過ぎると中毒を起こす可能性がある
わらびの旬の時期
ワラビの旬の時期は、地方によって差がありますが春(3月中旬)から初夏(6月初旬)にかけてが旬と言われています。
わらびは数ある山菜の中でも特に長期間採取が可能なもののひとつで、遅く芽吹いたものであれば7月くらいでも採ることができる場合もあります。
わらびが生えている場所とは?
わらびは日当たりが良くひらけた場所に生えることが多く、木々が生い茂った森の中などにはあまり生えていません。
我が家の敷地内にある群生地は、山を切り開いた開田の中腹にあるあまり手入れされていない雑木林の中にあります。
わらびは比較的広範囲に生えるので見つけやすいのですが、特に里山などのあまり手入れがされていないような畑や、草原に行くと群生しているのを見つけることができるかもしれません。
わらびのアク抜きの方法
わらびは採取してから時間が経つと硬くなってしまうので、採ったその日のうちにあく抜きをする必要があります。
材料と分量
わらび | 適量(300~500g) |
鍋に入れる水 | わらびの倍量(600ml~1000ml) |
重曹 | 小さじ1 |
灰汁抜きの手順
2.水洗いをする
3.大きい鍋に水(わらびの倍量)を入れて火にかける
4.沸騰したら重曹を入れる(水1ℓに小さじ1杯)
5.重曹が溶けたら火を止めて少し冷ます(荒熱を取る程度)
6.わらびが全て浸かるように鍋に入れる
7.10時間程度そのままに放置
8.わらびの硬さを定期的に確かめながら、良いころ合いで鍋から取り出す
9.流水で水洗いをして完成
注意点は、重曹を入れすぎないことと長時間水に浸け過ぎないことです。
重曹の量は1リットルの水なら小さじ1程度で十分で、入れすぎてしまうとワラビが溶けてしまい食感が損なわれてしまいます。
また、あく抜きにかける時間(水に浸けておく時間)も、一晩ほど放置したらその後は頻繁にわらびの硬さを確認しながら、鍋からあげるタイミングをはかるようにすれば失敗しません。
わらびの美味しさを決めるのはあく抜きの出来具合によると言っても過言ではないので、本来の触感を損なわないように慎重にアク抜きを行ってくださいね。
わらびの保存方法と保存期間
わらびの保存方法はいくつかありますが、基本的に全てあく抜きの工程を終わらせた後に保存をします。
採取したままの生のわらびを保管することはまずないので、採れたてのわらびがあるならまずあく抜きをしましょう。
あく抜き後のわらびの保存方法は以下の3つ
2.干して乾燥させて保存
3.味噌や塩、麹、酒粕などで漬け込んで保存
4.水気を軽く切り、ジップロックで冷凍保存
一番シンプルなのが1番の、あく抜きしたらそのまま「水に浸けた状態で冷蔵庫に入れる」という方法で、2~3日は保存が効きます。(※ただし、水は毎日入れ替えること)
長期間保存したい場合は、「乾燥」「塩漬け・味噌漬け」「冷凍」の3パターンです。
塩漬けや冷凍であれば1か月ほど、完全乾燥させた乾燥わらびにしてしまえば1年以上持ちます。
乾燥わらびを作る方法は、下記の「ぜんまい」の記事内で乾燥ぜんまいの作り方をご紹介しているので、ワラビに置き換えて参考にしてください。
わらびの栄養と灰汁に含まれる毒性について
わらびに関しては、実はあまり突起するほど飛びぬけて高い栄養価はありません。
比較的多く含まれるのが、食物繊維・ビタミンE・葉酸・カリウム等ですが、あく抜きをする過程で大部分が流出してしまうので、栄養素を取り込むという点においてはあまり効果的な食材ではありません。
灰汁抜きせずに食べられると良いのですが、わらびは他のどの山菜よりも強い灰汁(アク)が含まれていて、しっかりとあく抜きをしないと中毒症状を起こしてしまうので食べることができないのです。
わらびのアクに含まれる毒性には、発がん性のある「プタキロサイド」(約0.05%とごく微量含まれる)や、ビタミンB1を破壊する「アノイリナーゼ」という酵素が含まれているので、必ずあく抜きをする必要があります。
わらびのおすすめの食べ方
あく抜きしたわらびは、ポキポキッとした食感としっかりした「ぬめり」があるのが特徴で、「おそばの付け合わせ」や「お浸し」、「山菜おこわ」にとてもよく合います。
また生のままのわらびを天ぷらやかき揚げにしても美味しいのですが、前述の通り生のままでは毒性があるので食べ過ぎには十分注意してください。
まとめ
山菜の中でも特にアクの強いわらびは、あく抜きをすることから始まります。
山菜特有の苦みと食感を損なわないように、丁寧にした処理をすることで美味しいわらびが食べられますので是非ご紹介した方法で試してみてください。